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新宿歌舞伎町のSMバー【ARCADIA TOKYO】経営の他、各種イベントなどでも活躍する堂山鉄心の(めったに更新されない)ブログ。

調教師13 ~第6章~4 信用~

4 信用

あれは、俺が京子と云う存在を断ち切るための儀式であったように思う。
恵子は今や俺にとって、すでにパートナーなどと云う言葉などでは表現出来ない存在となった。
留美は本当に良くやっている。その働きには何の不満もない。
しかし、やはり一つの駒であることも事実であった。

「やぁ、やぁ、やぁ。遊びに来たよ。たまには一緒に飲まないかね」
隣の棟から、佐藤がシャンパンを手に持ち、上機嫌で入ってきた。
おそらくさっきまで留美に遊んでもらっていたのだろう。
「いいですね。飲りましょう」
恵子と留美は忙しく立ち振る舞い、酒や肴を用意する。
暫く談笑が進み、酒が進んでいき、女2人が片付けに立った時、俺が恵子を足置きにしていることに話題が及んだ。
「君は常に女性をモノ扱いする傾向があるようだが、性を追求していくとね、段々倒錯感を求めるようになっていくもので……」
「仰る通りですね。佐藤様のように遊びに長けてらっしゃる方であればあるほど、普通の遊びではもはや満足出来るものではないでしょう」
「わははは……正にそれだ。で、SMのようなものにも興味が出てくる訳だがね。しかし、力の強い男性が力の弱い女性をいたぶるというのは、何か当たり前すぎる気も……ま、時々だね。時々そんな風に感じることがあるのだよ」
「ええ。西洋からレディー・ファーストと云う概念が持ち込まれ、〝男性は女性に優しくしなければならない〟と云う前提があって初めて、倒錯することが出来るわけですから……本来の力関係から言えば、女王様とM男性の関係の方がよっぽど倒錯的であるのは間違いないことですね」
「だろ? 私も時々そう思うんだ」

これはチャンスかも知れない。
佐藤は自分の性癖を解放したがっている。
しかし、ここは慎重に進めなければならない。
プライドというヤツは意外と複雑で厄介なシロモノだ。

「……ところで留美から何か聞いておるかね」
「は? 何をですか?」
「いや、私の事をだね……」
「佐藤様は本当にお優しく、留美の我侭を何でも聞いてくださると、そう聞き及んでおりますが」
「そうかね。いやぁ、留美は本当に可愛くてね。本来の主従関係を考えると、どうかと思わないでも無いんだが、つい、甘くなってしまってね」
「いつも留美には注意しております。佐藤様のご好意に甘えてばかりでどうする――と。本当に私の躾が行き届かないばかりにご迷惑ばかりおかけして」
「いや……、そういうことでは無くてね……」
「何でも、留美に聞いたところでは、佐藤様はM女性の気持ちも知らなくてはいけないと、時々攻守交替されることまでおありとか……」
「ま、それはだね、やはりSMと云うのも自己満足だけではいけないと言うのが私の持論でね」
「勉強になります。ただ、サディストと云うものは、ともすれば、すぐに何かの型に嵌めたがる傾向があるようで、やれ、これが正統だ、あれは偽者だ――などと、自ら世界を狭くしがち。これでは本当に自分が楽しめる訳もありません。私の知り合いの遊びの達人と呼べる方々などは、ほとんどがSもMも両方を楽しまれる方ばかり。私のような狭量な未熟者とは違い、佐藤様クラスになられれば、当然、どちらの楽しみ方も自由自在でいらっしゃるのでしょうね」
「それはそうだよ。だが、なかなか相手によりけりでね。私をその気にさせるほどの女には早々巡り合うことが出来ん。ただ、留美ならそうなる可能性も高いがね」
「それは益々持って羨ましい限りです。留美も大好きな佐藤様にそこまで言っていただければ本望でしょう」

薄氷を踏むような――とは、こういうことかも知れない。
優秀な政治家である佐藤が、俺ごときの誘導尋問に引っかかるのは、多分に自ら告白したがっていた状況と、俺のことを多少なりとも信用してきたからだろう。
第一、今回の旅では前もって共に法を犯すことが決まっているのだ。
元々信用は無い訳ではない。
しかし、信用と云うものも一筋縄ではいかず、この部分については信用している――などと細かく枝分かれしているのが普通である。
誰かが言っていた言葉ではあるが、『信用とは、過去の経験に基づく未来予想の一つに過ぎない』だ、そうだ。
それはそうだろう。仕事で充分信用に値する上司だからと言って、休みの日の草野球で4番を任せられる訳では当然無い。

「愉しそうに、何のお話をされてるんですか? 私達も入れてくださいません?」
留美は頭が良く、本当に出来た奴隷だ。
地下室ではこんな言葉は絶対に吐かない。
TPOと云うものを良く理解している。

「今ちょうどお前の話をしていたところだ。佐藤様は本当にお前を気に入ってくださる。お前が先日ボンデージを着て行きたがった意味が理解出来たよ」
佐藤がピクっと反応した。
まだ、はっきり逆転しているとまでは俺に告白していない。
俺もあまり調子に乗りすぎて、佐藤を殻に閉じ込めてしまっては意味がないのだが、軽いジャブでガードを崩していくこともまた重要だ。

「あの日は私、佐藤様に喜んでいただこうと少し張り切りました」
「うん。とても美しかったよ」
「ところで留美。お前最近縛りの練習に余念がないみたいだが、一度俺の前で見せてみろ」
「はい。でも、どうしましょう。恵子さんにお願いしても良いんでしょうが、男性と女性では身体も違うし……佐藤様、良ければ少しモデルになってくださいませんか?」
「……や、まぁ……私は構わんが……うん。練習みたいなものなら……まぁ……」
「ありがとうございます。本当にいつもいつも我侭ばかりでごめんなさい」

なんだ、この白々しい会話は。
しかし、こういう儀式めいたことも言い訳として必要なのだ。
男というのは、生まれてから此の方、散々〝男子たれ〟として、育てられてくるのだ。
常に〝男らしく〟と教育されてくるのだ。
その人間の〝男らしさ〟と〝M性〟とは本来何ら相反するものでは無いのだが、人前で晒すには中々に勇気のいる行為であろう。
特に佐藤のように、他人に傅かれるのが当たり前の人間になれば、なおさら当然である。

せっかくだからと、少し電気を暗くした部屋で、留美が縄を掛けていくに従って段々と佐藤の息が上がっていくのが分かった。
俺は佐藤がリラックスしやすいように、恵子を弄び、膝に抱えて尻を撫ぜたり打ったりしていた。
「せっかくですから目隠しも致しましょうね」
留美に、小声で耳元に囁かれる頃になると、すでに理性の半分程度は飛んでいたようだ。
目隠しをされた顔に、留美の豊満な胸が押し付けられる。
佐藤は必死で舌を伸ばし乳首を探す。
留美はそれをさせまいと、ギリギリのところで逃がしながら、逆に佐藤の乳首を優しく指で転がしている。
「いけない舌だわ」
耳元で優しくそう言うと、必死に伸ばす佐藤の舌に突然、木製の洗濯バサミを挟む。
「取っちゃだめよ。取れてしまったらお仕置きですからね」
ズボンを脱がし、下着の上から左手で佐藤の股間を撫ぜながら、右手でテーブルに置いた蝋燭に火をつける。
それを高く持ち上げて、伸ばした舌の上に垂らす。
思わず反射的に舌を引っ込めかけ、危うく洗濯バサミが取れそうになる。
「何? そんなにお仕置きが欲しいの?」
佐藤は嫌々をするように、小さく首を振ってそれに答える。
「それじゃあ、良い子にしててね」
股間で遊んでいた手を内腿に移し、爪を立てて優しく――。
しかし、少しずつ強さを増していきながら撫ぜまわしていく。
何本もの爪痕が残った佐藤の内腿に高い位置から蝋燭を垂らす。
思わずこぼれる佐藤の呻き声を聞きながら、俺は留美のスキルの高さにただひたすら関心していた。

留美は今、間違いなく、仕事と云うだけではなく自分も楽しんでいる。
恵子は俺に命じられ、大きく開いた左脚を佐藤の右脚に乗せ、蝋燭を垂らして遊んでいる留美の股間を舐め始めた。
「あら、いけない子猫ちゃんの登場だわ」
恵子は、留美の股間を舐めながら佐藤の股間にも手を伸ばす。
洗濯バサミで挟まれた舌から、大量の涎を垂らしながら佐藤は荒い呼吸を繰り返した。

ここで俺は一つの賭けに出た。
恵子に佐藤の股間を含ませた後、留美に佐藤の頬を2~3発張らせておいて、俺は佐藤の肩に手をかけた留美を後ろから貫いた。
佐藤は、突然沸き起こった留美の大きな喘ぎ声に少し不思議そうな顔をしたものの、恵子から受ける刺激に未だ頭がはっきりしない状態のまま目隠しを外された。
目を開けても、暫くの間は目の前で何が行われているのか理解出来なかったようだが、留美に再び頬を張られ、「ちゃんと目を開けてよく見なさいっ。あなたの……はぁ、あなた のぉ……じょ おう さまがぁ……ぁあ、おかされて いる、のですよ……」
「あ あ あ あぁぁ ぁぁ ぁぁぁあっ!」
佐藤は舌を洗濯バサミで鋏まれ、言葉にならない声を上げながらも、急に泣きそうな顔になり、女のように首を左右に振りながら恵子の口の中に放った。
それを見届けてから俺も留美の中に放ち、留美は恵子から口移しでもらった佐藤の精液を、更に口づけと云う形で佐藤に返す。
留美と舌を絡ませている佐藤は恍惚の表情をしたまま、ふと、上を見上げた。

そこには――。
一歩離れたところから、醒めた目で全体を見下ろす俺がいた。




5 翻弄

「こちらです」
現地の人間に案内され、俺達は地下へと降りる階段に足をかけた。

コツ……コツ……コツ……。
……がちゃり……

それは、いつもの地下室を彷彿とさせるシーンであった。
……ギィー……

錆びた鉄製のドアを開けたそこは、やはり薄暗く、少し黴臭かった。暗さに少し目が慣れてきた頃、奥の壁際に一人の女が全裸で蹲っているのが見えてきた。

――こいつか。
殺人ショーに使われる女と云うのが、一体どういう種類の女なのか興味は尽きなかったが、やはり部屋は薄暗く、下を向いた女の顔の作りや、表情までは見て取れなかった。
ほんの数メートル。
しかし、これから殺される女と、それを見物する俺達との間には無限ともいえるほどの距離があり、それは決して縮むことは無い。

――これが金の力だ――。
持てる者と持たざる者との違い。
金があれば下げる必要の無い頭を下げることも無い。
金があれば失う必要の無い命を失うことも無い。
金・金・金・金・金……。
俺がほとんど興味を抱くことのなかったモノの一つの現実がここにある。

5分……10分……。
緊張のせいだろう。
俺と恵子を除く2人は、いつもに比べて極端に口数が少ない。
俺が話しかけても生返事だけでロクに会話は成立しなかった。
俺も恵子も元々、決して饒舌と言える方ではなく、結局沈黙が長くなり、嫌でも佐藤と留美の緊張は高まっていく。

……がちゃり……
突然鉄扉が開き、あまりに場違いな衣装を着けた男が入ってきた。
「大変お待たせ致しましたぁ。私の名前はぁ~、ムッシュ~・マー。本日の華麗なるイベントをお贈りさせて頂くでーす。」

マーと名乗るくらいだから中国人か?
それにしてもふざけた演出だ。
この薄暗い、これから殺人ショーが行われる地下室にはまるでそぐわないタキシードにシルク・ハット。
更にニッカ・ボッカーを穿き、その上からはニー・ブーツ。
手には3m程の一本鞭を輪にして持ち、厭らしい笑みを浮かべた口元には、ご丁寧にもカイゼル髭まであるのだから、すっかり昔のサーカスだ。
しかも、明らかにわざとおかしな日本語を使っている。
「今宵お贈りさせて頂く華麗なるショーはぁぁあ、この美女、ミス・ジェーンのぉ エ~ロティ~~ックッ! サプラ~イズッ!」

マーと名乗る男が腰をくねらせながら喋り始めた時、ジェーンと紹介された女は少しだけ反応を示したが、今は再び興味を失ったかのように、項垂れたまま身動きをしなくなった。
良く見れば、前手錠を掛けられた女の首には革の首輪が着けられ、そこから伸びた1・5m程の鎖で出来たリードは後ろの柱に繋がれていた。
マーと名乗った男は柱の鎖を外し、そこに2m程の新たな鎖を繋いだ。
「さぁ、ミス・ジェーン! お客様方にご挨拶するです!」
鎖を引っ張り、俺達の前に女を差し出す。
女はやつれた表情をしており、どうやら西洋と東洋の混血らしいことまでは分かるのだが、具体的にどこの――と、特定出来る程の特徴はない。
ブラウンの髪はソバージュの名残りを残し、分け目から伺える根元の方はストレートに近く、その部分も同じブラウンであることから、やはり西洋の血が入っているのだな――と、俺は意味もないことを考えていた。
マーと名乗った男は、手に持った鎖を天井に取り付けられたフックに架け、一本鞭を慣れた手つきで振るうと、それはジェーンと呼ばれた女のすぐ横の床で鋭い音を立てた。
一瞬、その音に身を縮ませた女は、いかにも不慣れな様子で、恐る恐る床に手を着き、頭を下げた。
そこから暫くの間は、マーの如何わしい言葉使いを除けば、所謂普通の――。まぁ、言ってしまえば退屈なSMショーが延々と続いた。
ところが、30分以上にも亘るマーの一本鞭が、ジェーンの背中の皮膚を削り、血が流れ出してきた頃から、酒とドラッグで意識の濁った佐藤の息遣いが荒くなっていく。
留美はその変化にいち早く気付いたようで、早くも佐藤の股間をまさぐりながら、自らも息を荒げている。
更に1本鞭はジェーンの頭部を滅多打ちにして完全に失神させ、ピクリとも反応しなくなると、マーはその女の破れた皮膚に塩を擦り込み無理矢理覚醒させる。
覚醒と言っても、目は裏返り、口からは泡を吹いてガクガクと痙攣したままであることには変わりない。
そして今度は剃刀を手に持ち、女の頬から腕、胸を通って、わき腹から足先まで、縦に何本もの赤い縞模様を描いていく。
佐藤は、留美によってすっかり下半身を剥き出され、四つん這いの格好で、アナルと男根の両方を責められながらも、決してジェーンからは目を離さなかった。

やはり、こいつは相当のマゾだな。
俺はその状態が5分以上続いているのを確認してから、おもむろに佐藤に近づき、髪を軽くワシ掴みにすると、更に顎を上げさせ、耳元で囁いてやる。
「佐藤さん。ご覧なさい。あの女の肌から這い出てくる赤い蛇を……美しいとは思いませんか? 佐藤さんも身体の中に、あんな綺麗な蛇を飼ってらっしゃるんですよ。そのうち、留美はそれを見たがるかも知れませんね」
「あ、あぁ……」
俺にその趣味は全くないが、今ならこの男は俺のものでも喜んで咥えるだろうと想像し、少し愉快な気分になった。
「ほら、もう少し近づいて。大丈夫……怖くなんてありません。もう、ほとんど意識なんて残ってないんですから」
少しずつ女の方へと導きながら囁き続ける。
「あの縦に伸びる傷口に、そっと触れてみなさい」
「ぅうう……」
マーと名乗る男は、予め打ち合わせた通りに、こちらのプレイが始まるのを待って、一人静かに奥へと消えていた。
留美から代わった恵子が股間を責め、留美と俺とは耳元で交互に囁き、その間も留美は佐藤に時々接吻をしたり、乳首を愛撫したりするのを怠らなかった。
口から泡をこぼして痙攣を続ける女に、佐藤の手を取り触れさせる。
佐藤は一瞬、ぴくっと、出した手を引っ込めたが、そこから恐る恐る触れ始めた。
縦に伸びた薄いピンクの裂け目から溢れ出る血をなぞるように、そーっと――。
俺は、留美が再び佐藤の乳首を抓りながら接吻しているタイミングを狙って、優しく佐藤人差し指を手に取り、女の開いた傷口に、いきなりエグり込むように押し付け、下に向かって強く引いた。
佐藤の爪が、剥き出しの傷口を深くエグり、血管を破って、新たな血が噴出す。
女は大きく身体を跳ねさせ、佐藤も同じく身をすくめた。
「ジェーンを見なさい。ジェーンの今の姿には一点の嘘もありません。見栄も外聞もプライドも羞恥心も……全てを晒すと云うのは……案外こういう姿なのかも知れない」
佐藤は俺の言葉に、ジェーンの姿に――。
そして己の姿に慄き――涙した。

留美は、佐藤の爪をジェーンの乳房の傷口に何度もめり込ませ、血と、様々な体液にまみれ、更に脂肪でヌルついたそれを、己の乳房に擦り付け、それを佐藤に舐め取らせる。
「とても可愛いわ……私の可愛いわんちゃん。お利巧で……あぁ……綺麗に、綺麗にするのよ」
俺は再び、狂ったように、留美の乳房に着いたジェーンの体液を舐めている佐藤の指を取り、頚動脈に近い傷口から潜り込ませる。
乳房の、妙にグニュグニュした感触とは異なり、喉元はやはり筋張っており、筋や血管や頚骨の感触がリアルに感じられる。
恵子はその間、マーの仕事を引き継ぎ、剃刀で新たな傷口を増やしながら、時々、自分でも傷口に指をめり込ませ、いつもの笑顔を張り付かせたまま――。とは言え、少しだけ息が上がっていた。
「さぁ、頚動脈はどれかな……命を感じるんだ……命の鼓動を見つけて、そいつを引きちぎれ」
「出来るわね。私の可愛いわんちゃんはとってもお利巧さんだもの。そんなことぐらいすぐに出来る事を彰雄様にも見せてあげて」
「……はい」
佐藤は、必死で頚動脈のあたりに手を埋め込んで捜す。
「もっと深くだ。指を立てて……こう。縦に筋肉を掻き分けて、もっと奥へ……」
その時、突然佐藤は嘔吐した。
びくんびくんと筋反射だけで動く、血まみれのゼンマイ仕掛けの人形のようになった女に、佐藤の大量の吐しゃ物が降りかかる。
「だめじゃないか。せっかくの綺麗なピンク色の傷口が見え難くなっちゃったぞ」
涙と鼻水と吐しゃ物でぐちゃぐちゃになった佐藤を、あくまで冷静な俺と、興奮状態の留美が導く。
指で無理矢理広げ、ぐちゃぐちゃになった傷口を泣きながら掻き回している佐藤の動きがピタっと止まった。

少し冷静になれば、どくどくと激しく脈打つ頚動脈を感じることなど訳は無い――。
「見つけたんだな。それが頚動脈だ。さぁ、引きちぎって見せてくれ」
佐藤は、ぐちゃぐちゃの傷口に突っ込んだ手を硬直させ、ガタガタと震えだした。

実は、鼓動自体は簡単に感じられても、そうそう実際には触れられるものではない。
動脈などと云うものは、普通想像しているよりも、遥かに奥に通っているものだ。
この時も、傷口に指を突っ込むと言ったって、本人の意識とは大きく違い、実際は精々1cmも潜ってはいない。
しかし、本人が動脈だと感じている以上、それは動脈なのである。
少なくとも、佐藤本人からすれば、間違いなくそうなのだ。
この女の命を自分が握っている――。
この感覚こそが全てなのだ。
生物と云うのはまず、自己の保存本能で動いているのである。
そして、自己保存本能の延長として――。また、同義語と言っても良いかも知れないが、次に来るのが種の保存本能だ。
――人間以外の動物は、同種を殺すことはめったにない――。
と言うのは良く言われる話ではあるが、自己の保存に直結する、種の保存と云うものを考えれば当然の事であり、だからこそ、人間も含め、同属殺しと云うのは、理屈ではなく嫌悪感を持つように、予め遺伝子にプログラミングされている。
つまり俺を含め、平気であろうが無かろうが、同属殺しが出来るというのは、それだけで、すでに生物として、どこかが壊れていると言っても過言では無いのである――。

「どうした? 指で引きちぎれなければ、歯で食い破っても良いぞ」
佐藤は、ジェーンの喉元に指を突っ込んだまま、目はこれ以上ないと云うくらいに大きく見開き、頬をビクビクと痙攣させたまま固まっている。
「その方が良いかもね。人間の生命を自分の舌で味わいながら絶ち切ってみなさい」
佐藤の唇が何かを言おうとわなないていた。
「私もね。以前彰雄様にそうやって導いて頂いたの……貴方も来るのよ。こちら側に」
言いながら留美は、佐藤の指を傷口から外し、後頭部の髪の毛を掴み、口を傷に向けて押し付けようとする。

そろそろ限界か――。
俺は、留美によって傷口から外された佐藤の指を開かせ、そこに恵子から受け取ったナイフを握らせた。
更に、その上から俺も手を重ね、留美に視線で合図する。
留美が佐藤の後頭部から力を抜く瞬間を見計らって、俺は佐藤のナイフを握った右手を振り上げ、そこに留美も手を重ねた。
「一緒に行きましょう……私のわんちゃん」

生きている人間の心臓の力と云うのはこれほどのものだと初めて知った。
3人で握ったナイフがジェーンの頚動脈を切り裂いた刹那――。
正に間髪を空ける間も無く噴出した血は、佐藤の開いたままの口を中心に顔面全体に叩きつけ、傍にいた俺や留美にまで余すところなく降り注ぎ、それははっきり痛みを感じるほどの力を持っていた。
血は、数秒から数十秒で勢いを無くしたようだが、俺は完全に魂の抜けた佐藤の手ごと、頚動脈のあたりを何回も何回もグリグリと抉り続けた。
ナイフをこねくり回すたびにジェーンだった肉体はビクンビクンと大げさに跳ね、骨を思わせるゴリゴリと云った感触と共に、何故だかはっきりとは判らないが、それはとても面白く、俺達はいつまでも飽きることなく、その作業を続けた。
佐藤は失禁し、さらに脱糞までし、昼間っから幽霊でも見たような顔のままで固まっており、代わりに留美は悪鬼のごとき形相で大粒の涙を流しながら笑っていたが、恐らく俺自身似たようなものではあったのだろう――。

「ほら、佐藤……。次は目玉をくり抜いてみないか」
「口が耳まで裂けていたら面白いわね」
「胸はダメだな。ただの薄黄色い脂肪の塊で面白くもなんともない」
「ねぇ、心臓って、生でみたことある?」
「それより俺は子宮ってのが見てみたいな」

無邪気に遊ぶ俺達の横で、すでに人間を一人解体した経験を持つ恵子は、一人ニコニコと無邪気に微笑んでおり、佐藤は顔中の筋肉を痙攣させ、泣いてるような、怒ってるような、また笑っているような複雑な表情を醸し出していた――。



6 屈服

「そうだ。本当にお前は上手くなったな」
悠然と椅子に座る俺の足を、裸で四つん這いになった留美が嬉しそうに舐めていた。
その留美の股間には、縛られ、仰向けに転がされ、全頭マスクから舌だけを挿し出した佐藤がむしゃぶりつき、その佐藤のアナルには、メイド服にゴム手袋をした恵子の腕がずっぽりと丸ごと手首まで入っていた。

最初の頃を除いて、俺は佐藤の目の前で留美をM女扱いすることは決してなかった。
しかし、今は状況が変わった。
T国からの出立を明日に控えた今、俺は王として君臨している現状を完全なものにする必要があった。
佐藤にはこれからたっぷりと働いてもらわなければならない。
そのためには鞭ばかりではなく、多少の飴も必要なのだ。

ただし――。
あの日以来、佐藤は俺に対する口の利き方からしてはっきりと変わってきた。
日に何度も連絡を取っていた、別のホテルに待機させている秘書とさえ、昨日、今日と一度ずつの連絡しかしていない。
それも俺の指示だ。
他人が介在しているところでは、やはり佐藤を立ててやらなければならないが、何事も最初が肝心なのは言うまでもなく、今は少しでも外の環境に触れさせたくない。

物事はすべからく、何につけてもタイミングが全てである。
ここで、今まさにこの瞬間において、佐藤に俺と云う存在を刻み込む。
それは、佐藤自身が絶対視する留美を、目の前で俺が服従させることによって刻み込んでいくわけだが、通常なら反発を感じることでも、一昨日のあの出来事の後なら容易に受け入れてしまう。

恵子に腕でアナルを犯され、醜く勃起した股間を恥ずかしげもなく屹立させ、M女の股間を愛しそうに舐める。
その先には全能の王である俺が轟然と全てを見下ろしている。

後、一歩だ――。
「佐藤、嬉しいな。恵子にケツマンコを犯してもらいながら留美のまんこを舐めさせてもらって」
「……はい……。とても嬉しゅう、ございます……」
「誰のおかげで、そんな贅沢が出来るのか言ってみろ」
「……そ、それは……ぁ……す どう……さまの、おかげです……」
俺は椅子から立ち上がり、佐藤の顔の上を跨ぐと、そこから留美の尻の割れ目を目掛けて放尿した。
留美の尻に当たった俺の尿はそのまま佐藤の口の中に零れていく。
「あぁ……一滴残らず飲みなさい。佐藤」
留美に言われ、恐らく俺のものであると気付きながらも、佐藤は喉を鳴らして飲む。
「あら、そんなに零してしまって……これはお仕置きが必要ですわ」
恵子の声に、佐藤が震えたのが判った。
もう一押しだ。
「佐藤。口を開けなさい」
おずおずと開いた佐藤の口の中に、勃起していない俺のモノを咥えさせてやった。
「ちゃんと綺麗にするんだ」
「そうよ。女の気持ちを理解しなさい。彰雄様に歯を立てたりしたら承知しないわよ」
生まれて初めて男にしゃぶらせた感想は、とても淫靡などと云う感覚とはかけ離れていたが、何と言っても明日は帰国である。
今、何としても互いの立ち位置をはっきりさせておく必要があった。
佐藤は、マスクの中でくぐもった声で泣きながら、俺のモノを咥え続けた。
留美と恵子は時々、佐藤に打擲を加えながら俺を愛撫する。
俺のモノは見る間に佐藤の口の中で勃起し始め、それにつれて佐藤の鳴き声も切なさを帯びてくる。
次に俺は、仰向けに転がった佐藤の口に、四つん這いにさせた恵子の陰部を押し付け、その恵子のアナルを貫いた。
留美は、佐藤の陰茎をしごいてやりながら、陰嚢の皮の部分に針を刺し始める。

恐怖と快楽。
恥辱と解放。
調教の最も基本的な行為である。
佐藤は口に押し付けられた恵子の陰核に、必死で舌を這わせながらも登りつめていく。
「お前は誰のものだ?」
「あぁ、わたしは、わたし……は……。みなさま の……ものです。あぁ、るみさま……けいこさま……す……す……すどう……さま……」
最後の仕上げは相手に絶望を与え、諦めさせることだ。
「あぁ……逝きます。逝き……」
佐藤が留美の手によって放とうとした瞬間、俺も恵子のアナルから引き抜いた自分のものを佐藤の口にねじりこみ、「お前は俺のモノだ!」

――放った――。
「今度こそ零すなよ。一滴残らず飲み干すんだ。」

佐藤は嗚咽とともに――。
全てのものを飲み込んだ。




調教師14 ~第7章~ 1 跳躍 に続く~







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Author:堂山鉄心
大阪府出身。 大阪を中心にSM活動を広げてきたが、ARCADIA TOKYOの出店に伴い、その活動の拠点を東京に移し活躍中。

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