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新宿歌舞伎町のSMバー【ARCADIA TOKYO】経営の他、各種イベントなどでも活躍する堂山鉄心の(めったに更新されない)ブログ。

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調教師12 ~第6章~1 野心~

~第6章~ 
1 野心


奴隷はあれから恵子を除いて4人に増えた。
留美に至ってはすでに商品として出荷先も決まっているし、綾香もそろそろ考えて良い頃だ。
新しい2人に加え、更に入荷予定は着々と進んでおり、俺一人ではとてもではないが対応し切れるものではなく、恵子の存在は益々際立っていった。

一度、恵子を上の俺の部屋へ招待しようかと言ったことがあるのだが、「奴隷長が留守をして、ここを任せられる奴隷がまだいません。勿体無いお話ではございますが、今回は見送らせていただきたく存じます」と、頑として受け付けない。

恵子にとってはこここそ全てなのである。
それ以前の記憶はかなり曖昧らしく、ここから出るのが怖いのかも知れない。
しかしそれは、俺にとっても好都合だ。
精々利用させてもらうことにしよう。


あの日――。
ミクを文字通り切り刻んだ恵子は、死体の処分について自分から俺に提案してきた。
「出来れば生ごみとして出したいのですが、中々そうも行きません。私にお任せ願えますか?」

どこまで理解出来ているのかいないのか分からなかったが、充分に冷静な判断であると思い、任せてみた。
すると恵子は俺にいくつかの道具を注文し、全て自分で解決した。
まず、元はミクだった肉を出来るだけ細かく肉切り包丁で刻み、大きな骨付きの肉は鋸や牛刀で大雑把に切り分けた後、大鍋で長時間煮込んだ上、ハンマーで砕く等の、実に原始的な方法を用い、約1週間を掛けて、そのほとんどはトイレに流し、一部は生ごみと一緒に処分した。
その間、恵子は他の一切の作業をせず、そのことのみに専念し、常にニコニコと鼻歌混じりで、いつも以上に上機嫌であった。
だが、かなり大型の換気扇が常備されているとは言え、暫くの間は異様な匂いが消えなかったものだ。

他の奴隷はあの日依頼、俺と恵子に更なる恐怖心を覚えたようで、益々従順になり、留美などは回復するまでに暫く時間が掛かったものの、口が利けるようになってからは正に理想的な奴隷と化した。
ただ、時折何かのタイミングで涙や発汗が止まらなくなったり、気がつけばずっと爪を噛み続けていたりすることもあったが、それ以外は至って正常である。
俺はミクの処分について、山にでも埋めに行くか、専門の業者でも使わなければと考えていたのだが、この一件以来、恵子に完全な信頼を置くようになった。

あの日、恵子は俺が止めるまで、1~2時間にも亘り、その全身を真っ赤な鮮血で染めたまま、とっくに息絶えているミクのことをずっと刺し続けていた。
留美も綾香もとっくに失神しており、俺はいつの間にか射精していたようで、その後も意識を失った留美の中で狂ったように、2度、3度と続けざまに放っていたようだ。

全てが異常な夜であった――。
が、全てはあの夜以来好転していった。


「留美さん。貸し出される先のご主人様が失望なされないように、きちんと綺麗にしておかなくちゃね」
剃毛の際、恵子が鋏や剃刀を持ったとたん、また留美の異常発汗が始まったが、これもすぐに慣れるだろう。
留美は異常に発汗する際、涙も流し、何故か陰部も濡らす。
まるで体中の水分を全て搾り出すかように、止めど無く溢れさせるのだ。
その話を含め、留美のことを、元大臣であり、今でも与党のご意見番の一人と噂される佐藤と云う男の秘書に話したところ、佐藤本人が大層気に入った様子で、是非に――。との、先方からの要望があった。

まずは、あの7年――。いや、すでに8年前になった例の地下室で『お試し調教』と題し、見てもらった。
久しぶりに出る外の世界にも、留美はそう動揺を見せる事無く、移動中を含め、あくまで従順に従った。
佐藤を前に、俺が調教ライブの様なものを行い、少し休憩を挟んで、佐藤を交えてのコラボレーション調教に移り、少しずつ俺が引いていく――。と云うカタチだ。
そして最後には、俺は一人椅子に座り、煙草を燻らせ見ていたのだが、そこで一つの確信を得た。

この男――。
マゾだ。

それは、ふとした表情であり、間であり、直感と言っても差し支えのない程度のものではあったが、俺は確信した。

その日はそれで一旦終了し、後日また俺と佐藤が条件等を話し合う――と云うことで別れた。
留美には、今までにも軽い調教の基礎程度の事は教え込んでいたが、その日から少し本格的に責め方を学ばせた。
縛りはもちろん、鞭、蝋燭、針、etc……。
その後、話し合いは順調に進み、留美に飽きたり、気に入らなかった場合を考慮させ、レンタルと云うことで決まった。

実は、これは俺が提案したものであり、それは佐藤の性倒錯に原因がある。
自分で変態性癖の持ち主であることを自覚した場合、男であれば最初は7割以上の確率で自分はSであると認識する傾向がある。
ところが奉仕などと称して相手に責める事を強要している最中に逆転していく事が多々あるのだ。

と、ここまではよくある話だが、ここから先が少し難しい。
繰り返すが、人間はほとんどの場合、誰かに依存したがる生き物である。
自然と誰かに依存する機会の少ない立場の人間の方が、往々にして依存に餓えている場合があるのである。
だが、このような立場の人間は、ただ容姿が美しいだけの女などでは今更何のアドバンテージにもならならない。
過去に美人と言われる女など、それこそ掃いて捨てるほど見て、相手をしてきている。
まして自分の本当に望んでいる性倒錯を自ら理解出来ていない今の状況では尚更だ。
これは普通の男女関係においても同じであるが、いかに自然に、相手に自分のしたいことを受け入れさせるか?
特に今回のような場合は、最終的に相手に満足を与えることが目的であるから、やはり、突き詰めていけばサービスである。
そこで、最初は奴隷として接し、徐々に心が開いていくのを待ち、少しずつ依存させていく。
そして、これを機に佐藤を多少なりとも操れるようになれば、俺の力は今より飛躍的に強まる。
これには留美だけでは不安なので、やはり俺自身が管理した方が間違いないと判断し、今回はレンタルと云う方法を取ったのだ。


留美――。
俺に依存し、俺を絶対視し、俺に恐怖し、俺に従う――。
美しくも可愛い奴隷。
留美だけではない。
これらの奴隷を使い、俺はこれから大いにのし上がっていく。
大垣以外に興味のなかった俺が、SMに出会うことによって野心が芽生えた瞬間である。




2 野望

「いやー、須藤君。良かったよ。彼女は素晴らしい奴隷だ。今後も君とは長い付き合いになりそうだね。よろしく頼むよ」
多少は予期していたとはいえ、突然、佐藤本人からこれだけ上機嫌で電話がかかってくるとは正直思ってもみなかった。

「やはり佐藤様は乗ってこられました」
留美からの報告によるとこうだ。
佐藤に縛られ、鞭や蝋燭で責められ、最後に玩具を使われた後バスを使い、綺麗に身体の隅々まで洗わされ、ベッドで休憩していた時――。
俺に言われた通り佐藤に対し、「何事も経験と申します。一度、少しだけ逆も試してみられてはいかがでしょうか?」と、持ちかけ目隠しを承知させた。
目隠しを施し、愛撫を加えていると、やはり今までよりも格段に反応が良かったので、「M女の心境が見えますでしょ?」などと囁きながら、さりげなく両手を上に上げさせ、ベッドの支柱に縄で止めた。

そこからはっきりと反応が変わったそうだ。
佐藤は女のように左右に首を振り、はしたない声を挙げ、その言葉使いまでが変わっていったらしい。
初日にして指一本とはいえ、前立腺にまで進み射精に導いたというのだから上出来であろう。

その後、目隠しを取り、再び持ち上げて接してやった結果、上機嫌で帰っていったそうだ。
一度目はこれで良い。
決して失敗して良い相手ではないのだ。
放っておいても自ら跪き、靴を舐めるようにしていかなければならない。
最初が肝心なのは重々承知の上で、敢えて失敗しない方法をとる必要がある。

2度目も散々シミュレーションを重ね慎重に打ち合わせた。
その結果、S/M逆転してからは言葉を慎重に選びながらも上からモノを言う。
その上で時々、軽く爪を立てたり甘噛みを加え、顔面騎乗で顔に跨り息を止めたり、アナルまで舐めさせたりする。
そして最後はちゃんと手で導いてやると、まるで子供のように甘えてきたそうだ。

曰く、「死んだ母の若い頃の面影がある」とか「そんな目で見つめてくる女性は今までいなかった」などと言っているらしいが、どれもこれも、ただの言い訳に過ぎない。
が、それで自分を納得させられるのならいくらでも言い訳くらいさせてやれば良い。
2度目にして、すでにS3/M7位の割合になっているというのだから、後はもう一押し。
次回は一気に引っくり返すのも面白いかも知れない。

もちろん留美も、「女王様“役”がこんなに楽しいとは思いもしませんでした。やはり佐藤様だからこんなに楽しめるのですね」などと白々しいことも言っているわけだが……。

3度目はコートの下にボンデージを着て行かせた。
もちろんヒールの高いブーツにガーター・ベルトも組み合わせて。
ベタな女王様ファッションだが、見た目と云うのは案外大事なものだ。

そしてここで、佐藤のM性は見事に開花した。
留美を様付けで呼びたがり、時間があれば脚に抱きつき頬を擦り付けてきたという。
「留美様。私がこうして留美様にお仕えしていることは、他の者には……」
「分かってるわよ。貴方は私だけのわんちゃん。これは私と貴方だけの秘密」


「テーブルが動いたりしたら、灯りが倒れるじゃないか」
俺の前に、裸で四つん這いの姿勢を保ち、背中に蝋燭を立てられ、灰皿やタバコなどを置かれたテーブルになりながら、留美は一日の報告をする。
「3回目でそこまで行くとはな。よし、そのうち機会を見て、もう一人誘ってみようかと持ちかけてやれ」
「はい。かしこまりました。彰雄様」


佐藤のもたらす情報は的確で優秀であった。
紹介される人材もまた優秀で、特に優れていたのが、不動産と株である。
とは言え、もちろんマージンは佐藤にも入る。
佐藤からすれば、今まで誰かに振っていた仕事の先を俺に振り替えただけのことであり、何ら変わるものではない。
そうしているうちに、F企画のみならず、加藤興業の中でも俺のポストはみるみる上がっていった。
ヤクザに関わらず、組織の中の地位を決めるものは金である。
ヤクザだろうが、サラリーマンだろうが、要は組織に金を多く運んできたものの勝ちだ。

大垣――。
こいつの存在を忘れたことなど今まで一度として無い。
だが、京子を失って8年。
更に恵子と云う存在を手に入れたことによって、俺は今までのテンションを保てなくなっていた。
本当ならそれはそれで良いのかも知れない。
しかし、俺は今ひとつ納得がいかなかった。

それは、俺が俺であるために――。
冬木は昔から俺に対して本当に善くしてくれた。
F企画を立ち上げる際、俺の特性を見込んで加藤に進言してくれたのもやはり冬木だ。
冬木にはいくら感謝しても、し足りないくらいの気持ちがある。
しかし、最初の頃こそ、大垣の名前を出せば「探してやる」などと言っていた冬木も、最近ではそんなことを言い出せる雰囲気ではなくなってきつつある。
それは当然のことだろう。
8年も前の事件に掛かりきっていられるほど、ヤクザと云うのは暇な職業ではない。
組織に属している限り、それは仕方の無いことなのだ。
それならば――。
組織を作るしかない。
今の冬木のように、加藤興業に属していながらでも、独立した組織を自分で作れば良いのである――。


「佐藤様。俺にもっと力があれば、更に素晴らしい世界をお見せ出来るんでしょうが……」
事ある毎に俺は佐藤に擦り寄る。
佐藤クラスになれば、そんな言葉の本当の意味など当然理解している。
判った上で、それが佐藤にとっても魅力的かどうか――。
大事なことはそれだけだ。

そして、俺は佐藤にとっての極上の時間を提供してやることが出来る。
俺は俺であり続けなければならなかった。
俺から生き様を除けば、ただのチンケな女垂らしが残るだけだ。
金があろうと、力があろうと、俺が俺でい続けない限り生きてはいけない。

「次は女性2人ってのはどうですか?」
「今度は留美とM女2人と、更に私が一緒に行くのも楽しそうです」
「留美は佐藤様にベタ惚れですからね。留美を私が縛って、その前で佐藤様が他の女と絡んだりしたら、留美の新しい顔が見れるような気がしませんか?」
「留美はね……」
「佐藤様なら……」
「佐藤様にだけ……」
「佐藤様……」
「佐藤様……」

そして――。
「佐藤様。T国の地下で行われている非合法な究極のSMショーと云うのがあって、どうやらそれに参加出来そうなんですが、留美と一緒に行かれませんか? もちろん私もご一緒させていただきますし……」
「本当かね? それは……しかし、大丈夫なのかね?」
「全てお任せください。向こうの官憲にも話は通っていますし、向こうでのアリバイ創りも完璧です。表向きは、うちと何の関りもないパルプを扱っている会社の招待を受けて、現地の視察と云う名目になっております」
「留美も一緒なのだな。君は誰を連れていくつもりだ?」
「佐藤様にはまだ会って頂いたことのない者を……うちの奴隷長で、恵子と云う女を連れて行こうと思っています」




3 贅沢

代議士――。
しかも大臣を経験しているだけあって、あれだけ出発前までは慎重に煩く安全の確保を喚き続けた佐藤は、いざ出発ともなると、実に堂々としていた。

T国はアジアの貧しい国だ。
ここでは日本円にしてたかが50万程度の金で殺人ショーが行われている。
借金のカタに連れて来られたが売り物にならない人間や、組織を裏切ったり、逃げた者たちの最後の使い道として、秘密ではあるが半ば公然と噂され、時々外国のモノズキ共が参加したりするのである。
だが、もちろん、俺達はそんなヤバい橋を渡るようなことはしない。
俺が今回用意した金は現地での滞在費も合わせてだが500万ほどである。
足りなければ更に用意出来るとも言ってある。

たかが500。
男女4人が現地に1週間――。
ファーストクラスで飛び、贅を尽くした滞在をし、最後には殺人まで行われることを考慮すると、欧米諸国なんかでは、とてもではないがありえない金額と言えよう。

映画にもなった世界的に有名な急行列車に乗り、宿泊は一軒家を2棟。
1階にダイニングとリビングとシャワーとプライベート・ルームがあり、2階にはベッド・ルームとバルコニーと、屋内シャワーにジャグジー付きの屋外風呂まであって、風呂に浸かりながらT国の豊穣な海や満天の星空を眺めることが出来る。

恵子や留美にとっては、本当に久しぶりの屋外での自由行動だ。
スパや観光を存分に楽しませた。
いや、楽しませようとしたのだが、2日目も終わろうという段階になり、恵子は、「こんな贅沢を頂いて、何とお礼を申していいかわかりません。ですが、私、これ以上は息が詰まってしまいます。どうか彰雄様のお世話に専念させていただくわけには参りませんでしょうか」などと言ってきた。
俺には、途中の恵子の様子を見ていて充分予測が出来ていたのだが、佐藤にとっては相当なカルチャー・ショックだったらしい。
「須藤君には私からもお願いしてあげる。せっかく来たんだから遠慮することはないよ。もっと楽しみなさい」
「いいえ。本当にありがたいお言葉なのですが、私は、日本での職務を放棄して、自分だけ楽しむことなど出来ない不躾者でございます。どうかこの地においても、自分の職務を真っ当させては頂けませんでしょうか」

半ば感心し、半ば呆れ気味の佐藤を説得し、2組に分かれることで話は決まった。
留美は佐藤と共に連日スパや観光を楽しみ、俺と恵子も時々は外出したが、基本的には屋内にいる時間が長かった。
何と言おうが、恵子にとっても俺と2人きりになる時間など本当に久しぶりの事だ。
地下室では奴隷長であり、俺の手伝いをする事がほとんどで、恵子自身を構ってやることなど、最近では全くと言っていいほどなかった。

「これこそ恵子にとりましては最高の贅沢でございます」
ベッドに横になった俺に、たっぷりと時間をかけたマッサージを施しながら恵子が言う。
――そろそろ処女を奪ってやっても良いのかも知れない――。

思わずそんな感情まで湧いたことに、俺自身が一番驚いた。

だめだ。
マゾヒズムの基本の一つは依存とコンプレックスである。
それは、コンプレックスに起因する依存と置き換えても良い。
要因は常に一つなどではなく、いくつもが複雑に絡み合って構成されており、一つくらいのコンプレックスを取り除いたくらいでは、大した変化は現れないかもしれない。
しかし、恵子自身が語った言葉にその全ての答えが凝縮されていたように思う。

「本当に、このような機会に恵子のような者をお選びいただいて、何とお礼を申し上げてよいやら……」
「お前は奴隷長として、本当に良くやっている。しかし他の者達への示しの問題も含めて、お前に感謝の気持ちを贈ろうと思ったらこういう形でしか出来ない」
「勿体無いお言葉でございます。しかし、本当に私などではなく、もっと、こう……何と申しますか……。他の……例えばその……何でも出来る他の奴隷でも良いのに、わざわざ私などをお選びくださって……」
やはり恵子はまだまだ処女でいる必要がありそうだ。


その日、俺は久しぶりに――。
本当に久しぶりに恵子に縄を掛けてやった。
その肌に縄が触れたとたん、いつもニコニコと愛想の良い顔しか出来ない恵子が、静かに涙を流し始めた。
天井の梁に吊り下げられ、鞭を入れる頃になると、いつしかそれは号泣に変わっていった。

もっとだ。
もっと開放しろ。
ここで全てを吐き出し、それを俺に喰わせろ。

打擲は吊りから解放されてもまだ続き、それは1時間以上にも及んだ。
縛ったまま座らせ、胸のあたりから天井の梁へと、一本縄で固定し、後ろから抱きかかえて、そっと針を刺した。
針は良い。
痛みそのものは、クリトリスなどを除けば鞭の比ではない。
しかし、生物の本能として、体内に異物を挿入されると言うのは根源的な恐怖感がある。
注射などの場合は、それを必然性と云う自分に対する言い訳で取り繕いねじ伏せているわけだが、SMにおけるそれは、愛や信頼や忠誠心などという非常に脆いもので無理矢理に補わなければならない。

そこに醍醐味がある。
主は従に対して、忠誠心を試す機会であり、また、同時に己の主としてのあり方の正否を判定されてしまう機会でもある。
逆に従は、主に対する忠誠心を示す機会であり、同時に己の主に対する気持ちが本物なのか、たんなる憧れのようなものなのか、自己診断させられる機会である。

キャップから外したばかりの20Gの針を、ゆっくりと目の前に横切らせる。
先端恐怖症の人間でなくとも怖い。
その恐怖を無理矢理ねじ伏せる。
腕から始まり、太腿、乳首、そしてラビアを経てクリトリスへ――。
一針、一針想いを込めて。
刺した針を軽く指で摘まみ、そっとダイアルのように回してみる。
小さな傷の中で針が回転を始める瞬間、恵子の身体がピクっと反応する。
少し、抜く方向に引っ張り、再び深く押し込んでいく。
ほんの少し流れた血を舌ですくい、その血を舌に乗せたまま接吻ける。
針を優しく捻りながら、絡めた舌と舌に恵子の血の味が滲む。
クリトリスの針を捻っていると、恵子は確認の必要がないほどに夥しく股間から溢れさせ、口からは涎を垂れ流しながら、白目を剥いて失神していた。

その後、身体に刺さった全ての針を抜き、傷口を丁寧に消毒し、剃刀を近くに置いた後、強く頬を張り、接吻をして起こしてやった。
舌を絡ませたまま、焦点の合わない目を薄めに開き、目を覚ました恵子から唇を離した。
次に右掌を取り、剃刀でそっと縦に線を引く。
まだ、意識のはっきりしない恵子の目が突然見開かれたとき、その右掌に描かれた薄いピンク色の裂け目からは、小さな血の粒が浮き上がってきた。
その粒は見る見る間に一本の線となり、更に一匹の蛇のようにのたうち、恵子の手首を伝って肘のあたりで一旦鎌首を持ち上げ、そこから伸びた舌は床に落ち、小さく弾けた。
1滴、2滴と自らの肘から滴る血を眺める恵子の横で、俺は自分の左掌に剃刀を当て、スっ――と、横に引いた。
少し右下がりに開いた傷跡からは、同じように、血の粒がやがて赤い蛇となって流れ出し、床で弾ける。
驚愕の表情で俺を見つめる恵子から唇を離し、恵子の右掌と自分の左掌を合わせ、指を絡ませ合い、互いに絡み合った2匹の蛇の2つに分かれた内の1つ――。
恵子の腕に這う蛇を下から舐め上げた。
恵子はやはり俺と同じように、俺の腕に這う蛇を下から舐め上げていく。
互いに、離れた肘から絡ませた掌まで舐め上げていき、血にまみれた頬が摺りあわされた頃、そのまま互いの血まみれの舌を――。

顔を――。
耳を――。
眼球を――。

そして再び唇を舐めあい、舌を絡ませあった。


その夜、俺と恵子は、合わせた掌から肘にかけての間を麻縄で縛りつけ、抱き合ったまま朝まで眠った――。







調教師13 ~第6章~4 信用~ に続く






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Author:堂山鉄心
大阪府出身。 大阪を中心にSM活動を広げてきたが、ARCADIA TOKYOの出店に伴い、その活動の拠点を東京に移し活躍中。

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