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新宿歌舞伎町のSMバー【ARCADIA TOKYO】経営の他、各種イベントなどでも活躍する堂山鉄心の(めったに更新されない)ブログ。

調教師11 ~第5章~ 9 逆転~

9 逆転

「いけません。おクスリは1日1回と彰雄様に決められています」
1日2食に増やしてやり、恵子は最近すっかり元気になった。
やはり、育ちが違うのだろうか? すっかり立場が逆転してしまっても、恵子はミクのように口汚く喚き散らすようなことはない。
俺は縄が面白くなり始め、ミクだけではなく、恵子も縛って楽しんだ。
最近は吊りにも挑戦し始め、益々面白さに拍車がかかる。
ネットや本で写真を見、面白そうなものはまずミクで試し、イケそうだと判断したら恵子に施す。
 
あの日、恵子のアナルに初めて挿入して以来、ミクは完全に最下層の奴隷と化した。
俺は、一日にほんの僅かな量のパケを恵子に渡し、そしてそれを管理させた。
シャブが欲しいミクは、最初恵子に懇願し、それでも効かないと怒鳴り、そしてまた懇願する。
俺の存在もあって、少しずつ怒鳴るということは無くなっていき、今はひたすら、恵子に媚びへつらうようになった。
恵子は今や檻から出て、地下室のみではあるが、自由に振舞える存在にしてやった。

「覚えてるか? 恵子。あの日俺はお前の覚悟を聞いた。お前の俺に対する、命も要らないと言う言葉を、今はかなり信用出来るまでになった。しかし、まだまだこれからだ。俺の期待を裏切るなよ」
「裏切りません。彰雄様のご寵愛をいただける限り、一生懸命お仕えさえて頂きます」
さすがにこの芝居がかった物言いは時々俺をうんざりさせる。
だがこれも、こういう極端に非日常的な空間で正気を保ち続けるためには、多少は仕方ないことなのかも知れない。

「恵子。今日は前を使う。ミクを連れて来い」
恵子は、俺がミクとセックスをしても、何の嫉妬心さえ見せることはない。
潜在意識の奥の奥ではどうなのか判らないが、恵子の目標はただ一つ、立派に俺に仕える女になることだけだ。
「彰雄様の幸せこそ恵子の幸せでございます」
普通の状態で聞けばとても鵜呑みになど出来る言葉ではないが、ここではそれを、充分にリアリティのある言葉として聞くことが出来る。

俺は恵子にメイド用の服を買い与えてやった。
約2ヶ月の間泣き暮らした恵子に笑顔が戻り、それを〝制服〟と呼んで大事にした。
俺はミクのクスリが抜けてくる前に、新たな女を調達しなければならないと考えていたが、この頃ミクは全く食欲がなく、日に日に痩せ細っていくのが判る。
この女は立場だけではなく、命までも自ら放棄しようと云うのか。
しかし、それはそれで構わないのかも知れない。
今は色々と試したいことが山ほどある。
生体実験などそうそう出来はしないが、自ら死んでいく女になら問題は無いだろう。

「もっと丁寧に舐めとりなさい。中まで舌を入れて綺麗にするのですよ」
恵子が奴隷長の威厳を込めて命じている。
四つん這いになって腰を高く上げ、自ら尻を広げながら威厳も何もあったものではないが、ここでは日常の常識など何の意味も持たない。
そして、それをミクに命じながら、自分は俺の足を愛しそうに舐める。
俺はその様子を椅子に腰掛け、煙草を燻らせながら眺めていた。
早く新しい奴隷が必要だ。
万が一ミクが壊れてしまったら恵子しか残らない。


それにしてもネットというのは便利なものだ。
文字だけを通じて、さも相手の全てが分かったかのように勘違いする女たちが後を絶たない。
数だけを追求するなら正に入れ食い状態である。
オフ会などと呼ばれているところに誘われても、俺がのこのこ出かけていく事などは無いが、意外と女は2人きりで会うことを望む場合が多い。
確かに会うまでには散々時間を浪費させられる。
しかしそれも、精々1日1~2回のメールで大体は事足りてしまう。
長い場合で半年。
大抵1ヶ月も連絡を取り続ければセックスまでは持ち込める。
これは組の調達係りの頃からの経験だ。
ただし、これが奴隷ともなると相当に難しいと考えていたのだが、実は全くそうでもないことが分かった。
現代人の多くは何らかの心の病を持っており、人間は元々群れる動物で、基本的には誰かに依存したがっているものである。

俺はすでに外に3人の奴隷と呼べる女を持っていた。
その他に未だ会っていない奴隷候補と呼べる女も10人近くいる。
そして、その10人の中で俺に〝飼われたい〟と、望んでいる23歳になる女が一人いた。
すでに手をつけている3人ではなく、何故その女を選んだのか――。
自分でもはっきりとは理解している訳でもなく、ただ勘と言う他はない。

「途中で俺を失望させるような事が無いよう、充分覚悟が出来てからもう一度言って来なさい」
「覚悟は出来ているつもりです。彰雄様を失望させるような事が無いよう、精一杯頑張ります」
「覚悟などと云う言葉はそんなに簡単に使うものじゃない。もう一度良く考えて、それから結論を出して来なさい」
ここまでやり取りすれば今更答えが変わることなど、めったにありはしない。
こんな言葉遊びは、ただジラして俺に対する思慕の情を深めさせているだけだ。
そして1週間後――。
連絡は来た。

留美。
これが次の新しい奴隷の名前である。



10 天啓

まずは俺の部屋で一晩を過ごした。
俺は家とは別に地下牢を所有している事までは話していたが、それ以外のことは何も教えていない。

「では、まずはお前の覚悟を証明して見せなさい」
俺は黙って椅子に腰掛け、TVを見ながらグラスを傾け、紫煙を燻らせていた。その間留美は後ろ手に縛られ、ジっと正座をしている。
4時間。
並みの忍耐力ではない。
この女は、以前サディストに飼われていた経験があり、一通りの調教は受けていたそうである。
内容までは詳しく聞いていないが、この女を仕込んだ男に微かな嫉妬にも似た感情を抱いた。
俺はこの女を扱えるのだろうか?
地下に入れてしまえば、どうとでもなるのだが、一歩間違えば今出来ている統率まで乱れ兼ねない。
俺の本能が警戒していた。
この女は危険だ。
しかし、危険な毒ほど、時には甘い香りを伴い俺を誘う。
飼ってみよう――。と思った。

縄を解いてやると同時に、気を失い倒れ掛かってきた。
相当に緊張し続けたのだろう。起きてから暫くは、手も足も自由に動かせそうもない。
こんな状態まで我慢出来るものなのか。
驚愕の思いを抱くと共に俺は閃いた。
これは商売になる。今までも女を使って商売してきた。
奴隷をSMクラブで働かすことも考えてきた。
しかし、これは次元が違う。
ここまで仕込めば、レンタルはもちろんのこと、日本を裏から動かしているような闇の存在や、海外の桁外れの金持ち相手にでも、充分商売になるはずだ。
何をしても良い、美しくも儚い生きている玩具。
売れない訳が無い。
レンタルなら、怪我をさせたり、死なせてしまった場合は、別料金を請求すれば良いだけの話である。
俺は天啓を得た。

次の夜、部屋に帰ってきた俺を留美は三つ指を付いて迎えた。
「おかえりなさいませ。彰雄様」
「よし、風呂だ。その後、お前の新しい家になる牢に連れていってやろう」
「ありがとうございます。お風呂は御用意出来ております」
風呂に浸かりながら、「これは恵子もうかうか出来ないな」と、愉快な気分になり、地下に連れて行くのは止めてここで飼おうかとも少し考えたが、それよりもこれから地下牢の教育係りを任せる方が有効的であるなどと想いを巡らせた。

……がちゃり……

「今日からここがお前の家だ」
薄暗い中に浮かび上がる光景に戸惑いながらもゆっくりと進む。
俺が中から鍵を掛けなおし、後を追おうとしたところで、留美が立ち止まっていた。
「そ、そんな……」
「どうした。奥へ進みなさい」
「わ、私は」
「生半可な気持ちで覚悟などと云う言葉は使うなと言ったな。俺は飼うのはお前一人だなどと言ったか?」

ただ、震えていた。
かたかたと。
俺は改めて驚いていた。
留美をしてさえこの反応か。
「恵子。こっちに来て挨拶しなさい」
すでにニコニコと笑顔で近づいてきていた恵子が、恭しく腰を折った。
「初めまして。ようこそいらっしゃいました。私が奴隷長の恵子でございます」
誰も奴隷長などと云う役職を与えた覚えはない。
ただ、何かにつけて恵子が、「これくらいのこと当然でございます。私、奴隷長ですから」と言うのを今まで止めなかっただけの事だ。
「彰雄様よりお伺いしています。留美さんですね。これからは私たちと一緒にお仕え致しましょう」
「どうするんだ。留美」
「……よ、よろしく……お願い致します……」
留美の登場に全く無頓着な恵子と、恵子を大いに意識する留美。
この対比も面白い。
「彰雄様にも改めてご挨拶しないといけないわ。留美さん」
相変わらずニコニコと無邪気に言う。
「はい。改めてよろしくお願い致します」
「ん? どうした、留美。環境が変わって戸惑っているのか? 昨日までなら同じ目線で挨拶など……有り得なかったよな」
言われて初めて気付いたように、留美はとっさに跪いた。
「申し訳ございませんでした。改めてよろしくお願い致し……」
全て言い終わる前に頭を踏みつけた。
「お前に今更挨拶から教えさせられるとは思わなかった。失望したぞ。留美」
「あぁ、申し訳……」
「言葉で誤魔化すな。態度で示せ。恵子、鞭だ」
「はい。彰雄様」
嬉しそうに壁面から全ての鞭を取ってきて、それらを両手いっぱいに広げる。
俺が黙って乗馬鞭を指差すと、その他の鞭を一抱えに脇に抱き、乗馬鞭だけを差し出す。
恵子自身、無意識のうちに明らかに変わっている。
ここまで出来る奴隷などでは決してなかった。
相乗効果と云うヤツか――。
ひれ伏し、恐怖に震える留美の耳元で静かに囁く。
「立て。そして着ているものを全て脱ぎなさい。躾も出来ていない――。奴隷とも呼べない犬に洋服などはいらない」
椅子に座って待つ俺の前で、留美はのろのろと立ち上がり、着ているものを脱ぎ始めた。
やはり、恵子が気になるようだ。ちらっと横を向いた瞬間を狙って太腿を叩いた。
「何度同じことを言わせれば気が済む。俺に仕える気が無いのなら初めからここへなど来るな。今すぐにでも帰れ」
「申し訳ありません。脱ぎます。今すぐ脱ぎます」
全てを脱ぎ終えると再び跪いてひれ伏す。
「よし。立て」
「はい」
俺は留美の周囲をゆっくりと回り、2周目で留美の後ろに回ったところで、髪を掴み後ろへ引いた。
がくんっと、顎を仰け反らせた留美の口に乗馬鞭を咥えさせる。
「落とすなよ。分かってるな」
前に回り、両手を差し出させ縛る。
そのまま鞭に当たらぬように頭の後ろまで両手を揃えて持って行き、脇を晒す。背中に持って行った縄を胸の上を通して1周……2周。
一旦、背中の交差しているところで縄を留め、今度は胸の下を通して同じく2周回す。
比較的手首に負担の大きい縛り方なので長時間は持たないが、手首の負担を軽減するための処置などしていると、時間もかかり興を削ぐ。
故に、今はこれで良い。
咥えさせておいた鞭を取り、再び目の前の椅子に座り、立ったまま足を開くよう、無言で左右の内腿を軽く叩く。
「昨日見せてもらったお前の覚悟ってのは、こんなもんだったんだな。本当に失望したよ。挨拶一つ、謝罪一つも出来ない女だったとはな」
「いえ、あれは……」
ぴしゃっ!
強く叩かれた内腿が鞭の先端の形に見る見る赤く色づいてくる。
「恵子。ギャグを持ってきて、この言い訳しか出来ない口を塞げ」
やはりニコニコと愛想良く、恵子はボール・ギャグを留美の口に咥えさせ、ベルトを締めた。
さぁ、調教の始まりだ。


もう立っているのがやっとだろう。
両の内腿はすでに紫色に変化しているところさえあり、がくがくと小刻みに震えている。
手の先が白い。
これ以上は明らかに危険だが、どうする――。
俺は一本鞭を取り、軽く距離を合わせた。
経験があるようだ。留美の目が恐怖に彩られる。
俺は一本鞭を振り上げると、留美の白い胸から腹にかけて斜めに振り下ろした。
そこで、今まで何とか耐えてきた緊張が、一気にもぎ取られたのだろう。
留美はついに膝を折り、体を丸め蹲った。
「誰が座れと言った。まだまだ足らんな」
必死で立ち上がろうとする留美を上から押さえ、手首の縄に手をかけて解く。
白く冷たくなった手に血が通い、赤みが差してくる。
やはり、少し長すぎたか――。
罰を与える場合、まだ終わる気がない以上、止めるのにもきっかけがいる。
この場合は膝をついたので新たな責めに入るために手を解いたと言う理由を作った訳だ。
手首だけを先に解き、後は縛った順の逆を追って解いて行く。ギャグを外し、物も言わず頬を張る。
1発、2発、3発……きっちり10発。
その後、蹲る留美の背中や脇腹にバラ鞭の雨を降らせる。
手で庇えばその手を、足で庇えばその足ごと打ち、頃合いを見て語りかける。
「言うことが聞けないなら今すぐ出て行け。今なら家に帰してやる。しかし今日を過ぎたらそうは行かない。ここの全てを見た後では帰してやることも出来ないかも知れんぞ。さぁ、どうする」
「す、すみませんでした。私……私……」
少し焦ったか――。
一瞬、自責の念がよぎる。
「頑張ります。頑張ってお仕えします。ここに置いてください」
安堵感から全身の力が抜けそうになるが、決して表情には出さない。
「よし。その言葉、今度こそ忘れるな」
この間約10分――。
そろそろ手首も回復してきているだろう。
片手を取り、なるべくさりげない仕草でチェックし、背中に回す。
空いた手で髪を掴み、顔を上げさせる。
「目を開けなさい」
上からじっと見つめる。見下ろし、目の奥の色を覗き、心を透かし見る。
屈服・屈辱・隷従・羞恥・恐怖・媚情・動揺・意地・自尊etc……etc……
刹那の間に目まぐるしく変わり続ける感情。
その中からお気に入りの感情を取り出し、増幅させていくのも、また楽しい。
しかし、本当に楽しむのは後だ。
今はしっかりここのルールを刻み込まなければいけない。
留美の肩に縄を置き、その上をゆっくり滑らす。
首の周りはわざと時間をかけ、螺旋階段のように1周させ滑らせていく。
縄の折り返し部を持つと、すっ――。と一瞬視線を外し、残ったもう一方の手も後ろに回して、再び覗き込む。
その目に浮かんでいるのは恐怖、媚情、そして僅かながらの期待である。
すでに息が上がっている。
このマゾめ――。
前から抱きすくめるように留美の手を後ろに回し、後ろで交差させた手首に縄をかけ、そこから高手小手に纏める。
新しく別の縄を用意し、それを檻の天井部から下げた登山用のカラビナに掛け、数回、背中と天井を往復させ留める。
更に新しい縄で左の太腿を吊り上げ、留める。
背中の縄でバランスは取れているものの、上げた左の膝は人体の構造上、いくら閉じようと努力していても、疲労と共に自然と外へ向けて開いていく。
その開いてくる内腿に張り手を入れる。
「玩具などは使わんぞ。快楽などは期待するな。痛みで逝くことも許さん。ただ耐えろ」
バラ鞭を手に取り、やはり上げた内腿に振り下ろす。
乗馬ほどピンポイントで痛みを与えることは出来ないが、大きな面積をカバーするのに有効で、バラで叩かれた場所は適度な熱を持ち、痛みを快楽へと変化させるには最も有効な手段の内の一つである。

痛みを快楽へと変化させる方法はいくつかある。
まず一番簡単なのは、軽めのスパンキングやバラ鞭などで適度な痛みを与えるのであるが、その際、バイブやローターなどを併用して快楽を同時に与えるというものだ。
出来れば痛みを与える場合を除き、その他のシチュエーションでは、それらの道具を一切使わないでおければ更に理想的だ。
バイブやローターの快楽を痛みとセットでのみ与える。
これを繰り返し、少しずつ痛みを強くしていけば、確実に痛みに対して反応するようになる。

また、単純に痛みのみを与え続けることにより、脳内麻薬物質と言われるものの分泌を促し、偽装快楽とも言えるものを発露させる方法もある。
詳しくは割愛するが、人間の脳は常に自己保存本能で動いており、一定量の痛みを与え続けると、そのストレスにより精神状態に問題が発生してしまう。
前述しているように、人間にとってストレスとは、胃壁に穴を開けたり、脛等の太い骨まで折ってしまう程重大な問題であり、拒食や自殺等も含め、生命活動そのものの放棄にまで繋がる場合がある。
それらの危険な状態を避けるために、一時的に一定量を超えるストレスを受けた場合、エンドルフィン等の脳内麻薬の働きにより、それらを緩和し、またその麻薬物質により快感を得る。
いわゆるランナーズ・ハイなどもこれにあたる。
つまり、敢えて極端な言い方をすれば、痛みを与え続け、脳内麻薬を出し続けることにより、エンドルフィン・ジャンキーを作るわけである。
脳内麻薬の場合、いわゆる本当の麻薬とは違い、元来体内にあるものであるから、その分当然分解も早く、それほど恐れるものではないが、やはり続けることにより、確実に習慣性は高まる。

後は、催眠効果と刷り込みだ。
一定のリズムを持つ音と痛みにより、催眠状態にある人間にエンドルフィン等を与え続け、痛みは快感であると植えつけていくわけだ。
そして言葉ももちろん重要であり、俺が敢えて「快楽など期待するな」と、言うことにより、嫌でも快楽と云う言葉を意識せざるを得ない状況に追い込み、「痛みで逝くことも許さん」で、痛みで逝けることも認識させる。
これらの知識を持ち、適切に行える経験を併せ、さらに相手がこちらに従いたいと言う意識があれば、元々MだとかSだとかノーマルだとかは一切関係なく、誰にでも痛みで快楽を与えることが出来る。
ただし今回のように、特別な環境に置くことで、相手の感情を無視して行う場合は別で、やはりひとつ間違えば著しい言語障害や記憶喪失など重大な精神異常にまで発展しかねない危険な方法であることもまた事実である。

その日、留美への仕置きは朝まで続いた。



11 化物

地下牢。
今日も、椅子に座りグラスを傾ける俺の前には、足置きである留美が蹲り、斜め後ろには恵子がニコニコと愛想良く立ち、その手に持った鎖の先には、全裸で繋がれたミクが蹲っていた。
そして、俺達の前には新たな奴隷である綾香が、天井から半分吊り下げられた状態で立っていた。後ろ手に縛り、つま先は地面に着いているものの、背中からは天井に向けて一本の縄が生えている状態である。

恵子は相変わらず従順で、最近は縛りも鞭もある程度は出来るようになり、今回の綾香も恵子に縛らせてみたものだ。
恵子は縛りの時もニコニコとこなすのだが、鞭を持つと人が変わった。
最初は冷静にニコニコしながら打ち続けるのだが、長く打っているうちに、表情に少しずつ変化が現れ、最後は目を見開き、髪を振り乱し、それでもやはり笑顔のままで、俺が止めるまで相手を殺しかねない勢いで打つものだから、さすがの俺もあまり長時間は打たせず、出来る限りバラ鞭以外は持たせないようにしていた。
 
留美もあれ以来かなりここの生活に慣れてはきた。
俺はこの女をウチの商品としての第1号に――。と考えてきたのだが、それには後一歩、何かが足りない。
ミクに至っては最近、どんどん痩せていってしまい、ほとんど喋っているところも聞いたことがないが、この女のおかげで俺のスキルは確実に上がっていき、今では逆に必要な素材となりつつもある。
 
いや、あった――。とでも言うべきか。
人間としては最早使い物にならないだろう。
縛りや吊りに関しては、本当に貢献度は高い。
駿河問いで吊り上げるのは、やはり現実的では無かった。
腰に1本縄を入れれば可能ではあるだろうが、そこまでしてもほんの短時間のことで、それではあまり意味がない。
そして、その他にも、逆さ吊りや仰向けの吊り。
いろいろな手法を試したが、現在はいくつかの間接に損傷があるらしく、とてもではないが参考にならず使えたものではない。
731部隊のように、次々とマルタを調達し続けるのは、現代においては非常に困難である。
そこで、最近はもっぱら縛り以外の実験に使用していて、先日からは、例の机と脛を交互に叩く実験を行っていたのだが、何回やっても骨は折れない。
叩くものの素材が違うのだろうか? または強さの問題だろうか? それとも壊れた関節からの神経伝達が上手く行ってない故のことだろうか?
今は、左右の脛も腕もどす黒く変色し、倍近くに腫れ上がっているため、やはり腫れが引くまではまともな実験にはならず困っていたので、留美の最後のステップアップに使用することに決めた。


「留美。綾香の調教はお前に任せる」
「……はい」
困惑の表情ではあるが、俺の発言は絶対である。
聞き返してくるような愚行を犯す留美ではない。
留美はバラ鞭を手に取り、綾香の前に進んでいった。
散々バラ鞭を振るい、玩具や浣腸まで駆使し、綾香を絶頂まで追い込み、「今日は初日ですので、この辺で良いかと存じます」
最初は明らかに困惑していたにも関わらず、俺の元へ戻ってきたときには瞳を濡らし、少し満足げであったのは、これからもらえるであろう褒美に対する期待なのか、それとも嗜虐行為そのものへの愉悦なのか?
「よし。まだ、充分とは言えないが、取り敢えずはそんなものだろう。お前はこれからそこに転がってる玩具を使って一本鞭の練習でもしてろ」

なっ……
留美は、蹲るミクの方を見ると、まるで畸形の魚を釣り上げてしまった子供のような、何か汚いものでも見るような顔になった。
「し、死んでしまいますよ」
「だったらどうだと言うんだ? 可哀想か? 何ならお前が変わりになってやるか?」
「いえ……」
「何をしている? 俺に同じことを2回言わせたいのか?」
「いえ。すぐに行きます」
留美は一本鞭を手に取ると、ニコニコとミクの髪の毛を掴み引きずって歩いていく恵子を恐々と見ながら、少し離れて付いていく。
「あぁぁ……あぅあぁぁああ……あああ……」
ロクに手足の動かせないミクは、全裸で打ちっ放しのコンクリートの床を人形のように引きずられ、そこかしこに出来た擦り傷から更に血を垂れ流し呻いた。
その血の跡を出来るだけ見ないように――。さも自分は気付いていないかのように振舞う留美を、俺は少し可愛いと思った。
 
お前にも現実を直視させてやるよ――。
その様子を青ざめた表情で、さきほど絶頂を迎えたばかりの綾香が見ていた。
「いや……なに、これ……」
俺が顎を振ると、戻ってきた恵子がすかさずギャグを手に取り、綾香の口に差込む。
「静かにしていてくださいね。あまり騒いで、彰雄様に不愉快な思いをさせてはいけませんから」
綾香は、やはりニコニコと笑顔を絶やさない恵子に何度も頷く。
青ざめた顔で一本鞭を振り続ける留美は、何度も『まだですか』とばかりに、こちらを伺う。
俺は蹲った綾香に足を乗せ、恵子に肩を揉ませながら気がつかない振りをする。
「あ、あの……もう、気を失ったみたいなんですが……」
「それでお前、一本鞭は上達したのか?」
「いえ、あの……ミクさんが……」
「いいから打ってみせてみろ」
「……はい」
「なんだその打ち方は? 恵子。ちょっと見本見せて指導してやれ」
「はい」
嬉しそうに立ち上がり、留美から受け取った鞭を、すでにピクリとも動かないミクの、皮膚が破れて血が流れ続けている背中に向けて思いっきり振り下ろす。
更に震える留美に対し、「留美さんはね、ここで構えた後、上体から先に振っているからいけないんです。胸を張り、先に肘から落としていき、最後に手首を……」
突然、留美が蹲り、嘔吐する。
「す、すみませんっ!」
「いいですよ。後で一緒にお掃除しましょうね。でね、さっきの続きですけど、最後のところで、こう手首を返して……」

留美は吐しゃ物に顔を汚したまま驚愕の様子で恵子を見上げる。

バ ケ モ ノ ――。
留美の目は明らかにそう語っていた。



12 狂気

「随分、上達したじゃないか」
次の日になり、留美はようやく、ほとんど肉の塊と化したミクを使って練習することにも少しは慣れてきたようだ。
環境と云うのは恐ろしい。
普通であれば、脅されようが殴られようが出来ない行為だろう。
それを、やっと解放される喜びか、単純に上達した喜びなのか、微かに微笑んでさえ見せた。

「いけないわぁ、こんなにしてちゃ……」
恵子は、縛って転がした綾香の股間を弄んでいた。
俺は、横目で恵子と綾香に視線を移した後、大儀そうに腰をあげた。
「よし。来なさい 留美。久しぶりに俺が縛ってやろう」
やはり解放される喜びからか、心から安心したような笑みでこちらへ近づいて、足元に跪く。
「よろしくお願いいたします」
土下座した留美の上に覆いかぶさるように体を預け、上から回した手で両の太腿を掴む。
強く。
太腿を掴んだ手の力をほんの少し緩め、爪を立てるような要領で、下から上、腰から脇を通って背中へ抜け、肩を回って腕へと降ろし、手首まで降りたところでその手首を掴み、後ろへと回す。
わざと、じっくり、いつもよりも時間をかけ、縄を掛けていく。
後ろ手から胸縄まで作り、腰にも一本取り、足にも美しい幾何学模様を描いていく。
まずは左腕から天井に向け一本。
同じく左の腰縄から一本取ると、地に付いている足を払って、一気に吊り上げる。
横吊り――。
バランスにさえ気をつけていれば2点のみで充分体重を支えることが出来る。
が、ブラついて邪魔な脚を絡めて、3本目の縄を天井に掛け、残った脚と背中の縄を絡め、背中を思いっきり反らす。
身体の柔らかい留美の場合、横向きに見事なアールが描かれ、とても気に入っている吊り方だ。
そして見た目だけではなく、横吊りの場合、通常の背面吊りとは異なり、身体の前面に対する打擲を与えやすいと云う利点もある。
横吊りで前面に打擲を加えた場合、普通であれば身体を前に折ってしまう。
どうせ時間がたてば開いていくのだから、それを悠々と待つのも一興だが、海老反りにした場合、そう簡単には身体前に折ることが出来ない。
つまり、連続の打擲が可能な訳である。
俺はバラを掴むと留美の胸目掛けて軽く、そして段々と強く打擲を加えていった。
胸から腰、太腿。
そして再び、胸。
下になって開いている右の内腿には、特に強い打撃を与えることが出来る。
 
留美は完全に縄に、そして鞭に酔っていた。
一発、一発に歓喜の嗚咽を漏らし、精神が解放されていく。
留美の育った劣悪な環境。
幼くして亡くした両親。
心を許せなかった教師達。
友達さえ信用に値せず――。
信じることが出来たのは常に自分一人であったそうだ。
ほんの一部の人間を除き、人というのは常に誰かに頼らなければ生きてはいけない。
そんな苦い想い出も、不安だらけの将来も、一滴、一滴の涙と共に流していく。
ここにいれば安全だ。
ここでは誰も裏切らない。
ここでは自分が自分自身でいられる――。

錯覚。
俺に依存すれば良い。
ここに依存すれば良い。
そして俺のために働き朽ちていけ。
俺は口角が吊り上り、思わず声が漏れるのも今は恐れず、ただただ悦楽の時を過ごした。

留美は忘れている――。
さっきまで自分が何をさせられていたのかを。
自分がどういう言葉で騙され連れて来られたのかを。
人は自分の過去について甘い。
自分の過ちについて正しく認識するということが出来ない。
今まで懸命に尽くしてきた個人や組織を疑うことは、それまでの自分自身の努力を否定することだ。
それが困難な道であればあるほど、努力をすればするほど、益々過去を否定出来なくなる。
くだらない新興宗教に嵌り、明らかに間違っていると誰でもが分かりそうなものなのに、それを認め、脱会することが出来ないのも同じ理由からだ。
安いホストに嵌り、周りからいくら忠告を受けようが、却って意固地になって貢ぎ続けていくのもそうだ。
ギャンブルで負けが込んで来たとき「今日はツイてない」と、そこで止めておけば被害は少なくて済むのに、取り返そうとして益々深みに嵌っていく場合がそうだ。

鞭で絶頂を迎えた留美を静かに下ろしてやり、腕を含めて一部の縄を解いてやり、後ろから抱きしめてやった。
強く。
強く。
そのまま、髪を掴み、顎を上げさせたところで、後ろから貫いてやる。
そして、そのままの体勢で少しずつ前ににじり寄っていく。
その先には――。
ミクがいた。
すでに自力では歩くことも出来ないミクは、今や辛うじて呼吸だけをしているただの肉塊であった。

留美は後1mと迫ったところで、やっとその肉塊に気付いた。
「や……」
当然容赦するつもりもなく、前進を止めた留美の尻を思い切り叩く。
「や、いや……いやぁぁぁぁぁああああっ!」
最後は留美の髪を掴み、顔を皮膚が破れた肉塊の臀部に押し付け、擦り付けてやった。
破れた皮膚から、血とも体液ともとれる液体が飛び散り、留美の顔を汚していく。
「いやぁっ! いやぁっ! いやぁあああああっ!」
しかし、腰の動きを速めると、明らかに恐怖や嫌悪だけではない呻きも漏れる。
「お前はこんな状態でも感じるんだな! こんな醜い肉塊に押し付けられていても濡らすんだな!」
「いやっ! いやっ! 言わないでっ! 言わないでくださいっ!」
後ろから頬を張る。
「だめだ。お前はもっと現実を見つめる必要がある。こんな状況でもお前は俺に従うんだ。そうだなっ!」
「あぁぁぁ……そうです。留美はこんな状況でも彰雄様に従って濡らせてしまう女です!」

俺は自分でも興奮で息が上がってきているのが判った。
これから行うことへの恐怖。
期待。 
そして興奮。

留美は更に自分から腰を振り、押し付けてきた。この女も興奮している。
マゾめ。
俺は最後の仕上げのため、隠し持っていたナイフをその手に握らせ、そこに自分の手を重ね、留美に考える暇を与えず、一気にミクの臀部を貫き、それを縦に素早く切り裂いた。
ミクの尻から大量の血がしぶき、留美の、涙と鼻水とでぐしゃぐしゃになった顔を濡らす。すると、それまでピクリともしなかったミクの、どこにこんな力が残っていたのかは分からないが、その瞬間驚くほど大きく跳ね、叫び、その後、びくん、びくんと大きく痙攣し始めた。
「ああああああ あぁ あ あああああああ あ ああぁぉぉ ごぉおうう うううぅぅぅ……ぐぅぁぁあああぅ……」
呆然とする留美に隙を与えないよう、すかさず第2刃を刺し貫いた時、留美もまた絶叫した。
俺が金本を刺した時もそうだったらしいが、初めて人を刺した場合、往々にして凶器から手が離れなくなることがあるようだ。
留美もきっと今そうなのだろう――。
3回、4回と刺し貫いても狂ったように絶叫するばかりで、一向に手を振り解こうしない。
「ふはははははは。お前はこんな状況でも、俺に従うんだなぁぁぁあああっ! ぇえっ? 留美ぃっ!」
相当興奮していたのだろう。俺も気がつけば大声で叫び続けていた。

そのうち、何度刺した後かは分からないが、俺達の前に突然、す――。っと人影が差した。
「コレ、もういらないんですね」
大振りのナイフを逆手に持ち、ニコニコと無邪気に微笑む恵子の表情は、流石の俺でさえ寒気を覚えたくらいだ。
「良かった。汚らしいから、早くかたしちゃいたかったんですよね……コレ」
何の気負いもなく、グサグサとミクであったモノの背中を刺しながら、無邪気に微笑み続ける。
「これで綺麗になるわ」
表情には一点の曇りさえ無い。
こういうのは、出来るだけ細かく砕いてから捨てた方が良いんですよね。
大体、この……あぁ……汚らしい……。
すぐに、綺麗に、致します。彰雄様。
うふふ、これでここもやっと綺麗 になって……この お ん な 。 しょじょ の しょ……どこ が いけ ない……の…… 誰にでも やらやらせてたインバイの インバイのくせにっ!   ぶ さ い く な ふりょ う 女が ちょうううしにぃぃ ちょうしにぃいいい…… のり のりやがってぇぇぇぇええっ! しねばいい!  細かく細かく細かく……アトカタも のこらないように こまかく きれいにぃしなくちゃあ  わたくしはぁ……奴隷長ですもの どれい ちょ……わぁ たくぅしぃぃい……この ばいたっ……お そう  じ しね しょ じょ で  しょ じょでぇぇぇええっ  わ るか た わねぇぇぇぇええええっ! しぃぃぃねぇぇ しぃぃねぇぇぇ しぃねぇ しね しね しね しね しね し ね し  ね しねっしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね………………。


俺が呆然と見つめる中――。
頭と言わず、顔と言わず、背中と言わず、決して手を止めることなく――。 
頚動脈から噴出す真っ赤な雨に全身を濡らし、ニコニコと微笑み、呪詛の言葉を吐き続ける恵子の姿は……。


……たまらなく美しかった。





調教師12 ~第6章~1 野心~ に続く



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Author:堂山鉄心
大阪府出身。 大阪を中心にSM活動を広げてきたが、ARCADIA TOKYOの出店に伴い、その活動の拠点を東京に移し活躍中。

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