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新宿歌舞伎町のSMバー【ARCADIA TOKYO】経営の他、各種イベントなどでも活躍する堂山鉄心の(めったに更新されない)ブログ。

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調教師16 ~ 最終章~ 1 窮鼠 ~ エピローグ

~ 最終章~ 
1 窮鼠


船倉内はとてもではないが清潔とは言えず、油と木と潮の匂いで充ち満ちていた。
脇腹から流れ出る血は既に止まってはいるようだが、未だ予断は許さない。
呼吸が荒い。
熱も高いだろう。
それでも変わらぬ、ニコニコとした無邪気な微笑で、心配を掛けぬようにと俺を仰ぎ見る。

――あの時――。


          *

「っらーっ! 須藤っ! もうすぐだぁっ! 覚悟しとけよっ! はっはーっ!」
鉄扉のふちが焼き切れるのを待てない数人が、ガンガンと蹴りを入れながら喚く。

一人でも多く道連れにしてやる――。
俺は扉の横の壁に背中を押し付け、グロックの銃杷を握りなおし、2つある予備弾装の内の一つを口に咥えた。
反対側の壁には、留美がチャイナのロング・ドレスのスリットから、心持ち上げた見事なラインの右脚を露出させ、そのガーターベルトに予備弾装を挟み、やはり両手に構えたコルトを上部に向け、射抜くように鉄扉を擬視している。

視線が絡み合った。
堪らない笑顔を返してきた。
へっ……。
中々、サマんなってやがる。

鉄扉は既に、左サイドを残すのみ。
右サイドに少しの隙間。
その隙間を狙って立て続けに3発。
闇雲に撃ったうちの1発が誰かに当たったようだ。
大げさな悲鳴と共に、鉄扉から漏れるバーナーの炎が掻き消えた。

「てめぇ、須藤っ! どうせ時間の問題だ! みっともねぇマネすんじゃねぇっ!」
時間の問題?
知ってるよ。
そんなことは、誰に言われるでもなく知っている。
それでも……。
みっともなかろうが何だろうが、最後の最後まで足掻いてやる――。

だが、少しの間を置いて、遮蔽物になるようなモノでも持ってきたのだろう。
再び、バーナーの炎が鉄扉のフチを舐め始めた。
早々偶然など続くものではない。
その後撃った弾は、見事に相手の遮蔽物どころか、鉄扉の向こうにさえ届かない。

その時、綾香を始め数人の女が洋服や布団などを大量に抱え、鉄扉の前に置いて火を放った。
――はは……。袋のネズミ側が、火か――。

大型の換気扇のおかげで、一酸化炭素中毒こそ免れるとは思うが、これも所詮足掻きの一つでしかない。
鉄扉は既にそのほとんどが焼切られ、今や体当たり程度でも開きそうだ。
しかしヤツらもこちらの銃と炎に警戒し、中々入っては来れない。

その時――。
「彰雄様、こちらです」
今まで姿の見えなかった恵子が突然俺を呼びにきた。
そして恵子が指差したそこには――。
壁からすっかり本体を外され、今や大きく口を開く、換気扇のダクトが。
そういえば、今日掃除の時に説明書と格闘していたのだったか――。

留美に合図を送り、ダクトに駆け寄る。
立てかけた簡易ベッドによじ登り、恵子に手を貸すため後ろを振り返ると、さっきと寸分変わらぬ体勢の留美が壁を背にし、鉄扉を凝視しているのが目に入った。

「何やってんだ! 留美。早く来い!」
ベッドから飛び降り、留美の下へと走り、出来るだけ小声で叫ぶ。
留美は鉄扉から目を離さず、闇雲に1発撃った後、「出来ません。今、ここを離れたら一気に雪崩れ込んできます。上にも回られて待ち伏せもされるでしょう。私はここを……動けません」
「バカヤロウっ! そんな理屈はいらねぇ! 一緒に来い! 命令だ!」
「……すみません。一度だけ。留美は一度だけ彰雄様に背きます。 一人でも多くの女の子を逃がしてあげてください」

何だ? 
何故こうなる?
これしかないのか? 
本当に、これしか……。

「彰雄様に万一のことがあれば、私たちの誰もが生きてはいけません。彰雄様には生き延びる義務があります。私は……。私は恵子さんが羨ましかった。誰よりも彰雄様に寄り添い、誰よりも彰雄様のお役に立てる恵子さんが。今回もダクトに気付いたのは恵子さん。私も……。私も一つ位、お役に立たせてください」
言いながらも、鉄扉からは決して目を離さず、時々思い出したように引き金を引く。

いったい今まで、どれだけ俺のために働いた?
俺に騙され、俺に利用され……。
そして今、俺のために死ぬのか? 
――留美――。

「……判った。全員が脱出したら、最後はお前だ。絶対生きて俺の下へ戻ってこい。これが……最後の命令だ」
「……わかりました」
俺は絶望の返事を聞くと、この状況には余りに不釣合いな留美の細過ぎる腰を引き寄せ、その唇に……。
恐らく最後になるであろう接吻けをした。

留美の頬を濡らす涙と唇の余韻を引きちぎるように、ダクトに向かって走る。

どうか……どうか、ご無事で……愛しています……。

微かだが、確かに聞こえた。
だが、俺はもう、振り返らない。

「早く。彰雄様」
恵子は自力で登ったダクトの口で俺を待っていた。
一体何人脱出出来る? 
後から続く数人の足音を聞きながら、自分の命さえ心許ない状況で、手近に転がっていた大型のサバイバル・ナイフと麻縄だけを掴んで走る。
――誰も死ぬな。

脱出出来たところでアテなどない。
ヤクザの世界ほど横の連携の強い世界はないのだから。
例えここを潜り抜けられたとしても、この日本で俺が生き延びることの出来る土地があるとは到底思えないが、留美の言った「……彰雄様には生き延びる義務がある……」この言葉に突き動かされ、ほとんど突起物の無い、四角い鉄製のダクトの内部を、目一杯、両手両足を突っ張りながら、口に麻縄を咥え、懸命によじ登った。
縦から水平へと移った後、途中行く手を塞ぐ金網を大型のナイフで切り破り、その破れた網に咥えてきた麻縄を縛り付け、下に向かって投げ下ろす。

――全員、生きのびろ。
再び絶望に近い祈りを捧げた時、微かに外の明かりが見え、続いてアスファルトの地面らしきものが見えた。
古いビルで助かった。
ダクトの換気口は1階の天井裏ではなく、床下に配置されていたらしい。
最後のアルミで出来た換気用のサッシュは外に向かって蹴り外した。

――今のは、目立つか――。
外に人がいれば、確実に認識されているはずだ。
換気口から、外を確認するため、そーっと、頭を出す。

ゴリっ……。

側頭部に押し付けられたソレは、間違いなく銃口だった。



2 脱出 

「静かに……敵ではありません。騒がれないためです。私、貴方を助けます。難しい状況でしょうが、私を信じなさい」
俺は、いきなり即頭部に銃口を押し付けてくる、全身黒ずくめの男を信用出来るような世界では生きてこなかった。
「STOP! 銃を握った手は、まだ、出さないでください。銃も取り上げたりはしませんが、こちらを向ければ撃たなければなりません」

誰だ? 
こいつ……。
「今は説明している暇もありません。どの道、貴方は私を信用するしかない」
――確かにそのようだ。

下では銃撃が始まっている。
もしかすると、何人かはすでに侵入しているかも知れない。
「ゆっくり出て、静かに着いて来てください」
俺はダクトから、ゆっくり這い出ると、まずは恵子を引きずりだした。
続いて、裕美……亮子……あゆみ……
「時間がありません。それに、そんなに車には乗れない」
「こいつらは俺と違って面は割れてねぇんだ。ここさえ脱出出来れば、後は何とかなる」
「どちらにしても時間が……」
その時、視線の端で何かが動いた。

『おい、あれ……』
遠目に白いジャージ姿の男がこちらを指差し、他の男に声をかけている。
「ダメです。見つかった。急いでください」
「固まるな。お前らは大丈夫だ。バラバラに逃げろ。生き延びるんだ」
一つに固まって途方に暮れる女達を思考の外に追い出し、黒ずくめの男について走った。
――ただ、恵子だけを連れて――。

「おい! お前ら待てっ!」
男達の怒声には、まだ距離がある。
銃など撃ってきても届かない。
だが、置き去りにした女達の悲鳴が聞こえた瞬間、地下室からは凄まじい爆発音が起こった――。
それと同時に、マンションのいくつもの部屋の窓ガラスが割れて飛散し、俺達のスグ後ろを追いかけてくる男どもや、逃げ遅れた女達の頭上へ銀色のシャワーとなって降り注ぐ。
俺は呆然と立ち止まり、マンションの方へと視線を向けた。

何が? 
一体何が、起きたんだ?
――留美……。

「何してるんですか。走ってっ!」
数発の銃声に追い立てられるように、走った。
T字路を左に曲がったところで、黒ずくめは、エンジンをかけたまま止まっているレガシー・ワゴンの助手席に飛び乗ると、「早くっ!」
声を限りに叫んだ。
俺も、日頃の運動不足からか、やたらと足をもつれさせる恵子を引きずるようにして乗り込む。
「GO! GO! GO!」
煽る黒ずくめの言葉に、運転席の男はタイヤを軋らせながら、黙って車を発進させた。

後ろを振り返ると、走って追いかけてくる者、恐らくは車を取りに戻るのであろう者などがいたが、その後、予想したカー・チェイスなども無く、俺達は何とか無事に神戸で朝が来るのを待ち、車を乗り換えて愛知まで戻り、そこから得体の知れない漁船に乗せられ、海上で再び、大きなタンカーに乗り換えさせられ、今はそのタンカーの船倉で背中を丸めている。

――留美……。




3 喪失

さすがに事務所の金こそ持ち出せなかったが、俺は個人資産を全て、地下室の金庫に入れていた。
神戸で朝まで待ったのは銀行で現金を下ろすためだ。
株券や土地の権利書などは諦めるしかないが、現金は1円でも多めに欲しい。
しかし、ヤクザだけではなく、警察庁まで敵に回している身としては、数千万の個人預金を全て下ろすわけにも行かず、新たな投資のため――。と、それらしい事をでっちあげ、数行から合計で2千万ほどの現金を下ろすのが精一杯だった。
その2千万にしても、その内の5百万を渡航費としてこの男に渡せば、残りは千5百しかない。
5百万など、法外も良いところだが、日本に居場所の無くなった俺に、選択権などあるはずがなかった。

「私はウォン。こちらの運転手の名前は知る必要ありません。彼はただの運転手。彼も貴方たちのことは一切何も知りません」
ウォンと名乗った黒ずくめの男は、神戸への車中で唐突に喋り始めた。
「何故、あそこにいたんだ? それに何故俺を助ける」
「私は香港の者です」
「それがどうした? 俺を知っているのか?」
「貴方は有名人です。私達の他にも、台湾、上海、北京、福建の者が貴方を狙ってました」
「狙って?」
「監視と言った方が正確でしょうか?」
訳がわからない。
「何故、俺を監視する?」
「私達の組織、新宿の出来事何でも知っています。私達だけじゃない。台湾も上海も北京も福建も……」
「お前らが新宿で力を持ってることは知っている。しかし、それでは答えになってない」
「貴方の調教した女性。大変素晴らしい。商売繁盛。みんな知ってる。とても評判が良い。香港の老大も大変興味深く思ってる」

――そう云うことか……。
ふざけるな! と、言いたいところだが、ヤクザと警察に追われ、いつの間にか脇腹に銃弾をもらっていた恵子を抱えて、俺に出来ることなどもはや何も無かった。
「みんな貴方のこと調べていました。貴方を引き抜くこと出来ません。なら、潰す方が早い。だけど、潰す前に、噂聞こえてきました。貴方の組織が貴方狙ってる。持田の事務所での作戦、見事でした。警察、何も気付いていない。でも、私達みんな知っています。貴方はこれから香港で老大のために働きます。早ければ2~3年で、日本に戻れるかも知れない。そのため蛇頭に5百支払ってください。普通なら一人3百、老大の口利きで今回は特別です。貴方、本当に私達に見つかって幸運です」

――幸運……か――。
その親切めいた言葉とは裏腹に、恵子には、簡単な止血を施し、抗生物質をくれただけで縫合さえしてくれる訳では無い。
幸い銃弾は貫通しており、このまま化膿さえしなければ敗血症などにはならないだろう――。と、思っていたのだが――。
船倉に潜って2日目の夜から、脂汗が止まらなくなった。

「……恵子」
呼ばれれば、いつものニコニコとした笑顔に大量の脂汗を浮かべながら、「はい……香港は……遠いですね……」などと、無理をして何も無い風を装うものだから、却って迂闊に声を掛けることも出来ない。
誰かに診てもうために船倉を出ようとしても、扉には外から鍵が掛かっており、言葉も通じず、俺は無力感だけを味わった。

3日目の朝――。
「あきおさま。恵子は久しぶりに走ったものですから、身体中が筋肉痛みたいです。……おかしいですね……」
高熱を出しながらも、全身を冷たい汗で濡らし、それでも引きつった笑顔を見せながら恵子が呟く。
「恵子……もう少しだ……香港に着いたら、一番に医者に診せてやる」
「……良いんです。恵子は幸せでした。……最後までご一緒出来て、留美さん達には申し訳ありませんが、本当に幸せでした」
「バカヤロウ! つまんねぇこと言うんじゃねぇ! ……お前の身体は俺のモノだ。俺の許可無く勝手に死んだりしたら承知しねぇ!」

――もっと気の利いたセリフを思いつかないものか――。
俺の言葉を聞くと、更にニッコリと微笑みを増し、ゆっくりと頷くだけだった。

夕方になると、少しずつ恵子の熱が下がっていった。
「覚えてらっしゃいますか? T国で一晩、恵子を抱いて眠ってくださいました。……手と手を……こう……。縄で絡めて……幸せな……とても幸せな時間」
「これから何度でも、抱いて眠ってやる。目を瞑れ」
「覚えてらっしゃいますか? 初めて制服をくださった時にこと……そうあの……」
「いいから目を……」

「あぁ……覚えてらっしゃいますか……恵子が幼稚舎に入学したとき……お父様ったら、靴下を左右違うものを履いて来られて。……真っ赤な顔でお母様に怒鳴ってるけど、ちっとも怖くなくて……。あれ? ……あれは小学舎の入学の時でしたかしら……」
「………………」
「留美さんは素晴らしい女性ですね。……誰よりも彰雄様のお役に立たれて……彰雄様のご寵愛を受けられても……恵子に自慢一つ言われる訳でもなく……」
「留美は……お前が羨ましかったと言っていた……」
「あら、何故でしょう? ……恵子は……恵子など女にもなれ……。……初めてお逢いした時を覚えてらっしゃいますか?……あれは……あれは…………あれ……」
「………………」
「……今頃、佐藤先生は留美さんに可愛がっていただいてますでしょうか……」

呼吸が荒い。
時折ヒューヒューと風のような音が混ざるのは過呼吸と云うヤツか。
――熱が……。
下がりすぎている。
「けいこ は……お んな ……………… あれ は……けい こ は……」

涙が止まらなかった。
2度と自分の女など持つまいと誓った。
俺がしてきたことは、こういうことだったのか――。

「恵子……俺の女にしてやる……今こそ……俺の女になれ……」
「……けい こ  は  どれいちょ……お……」

俺はそれ以上何も言わず、恵子の服を脱がし始めた。
薄汚れた船倉の薄汚れた毛布の上で――。
俺も同じく全裸になり、恵子に接吻けた。
かさかさに乾いた恵子の股間に唾液をたっぷりと塗りこみ、静かに――。
しかし、力強く腰を沈めていった。

「恵子……判るか? 今、お前は女になった。今、お前は俺の女になったんだ……」
もう、痛みもほとんど感じないのか、笑顔のままで不思議な表情を見せる。
「恵子。判るか? 恵子……」
「……あ、あぁ……わかります……あぁ……わかります……・これで……これ  で……」
笑顔のままで、はらはらと涙を流しながら恵子は呟く。
――そのとき――。
恵子の奥からどんどん溢れ出る熱いものがあった。
「これで……お ん な  に……あき お  さま……の おん な  に……」
俺は恵子の両腕を自分の首に絡め、ゆっくりと腰を動かした。
今や恵子の股間は夥しい愛液に溢れ、その表情は至福の極みを示していた――。


――その夜。
俺の腕の中で、相変わらず笑顔のまま、すっかり体温を失った恵子を抱きしめながら……。

俺はいつまでも泣いた。



~エピローグ~ 

横浜。
港の夜景を見下ろす高台には、近頃少し冷たくなってきた風が吹いていた。
――やはり、コートを持ってくるべきだったか――。
潮風を避けるようにシャツの襟を立て、タバコに火を着ける。
ここで一人の男と会う。
久しぶりに帰ってきた日本は少し、景色も違って見えた。


香港――。
5年前のあの日、愛知の港を後にした俺は、結局4日間を費やして香港に辿り着いた。
香港では、韓国人と日本人のハーフで、金 明人と云う名前を付けられ、ロゥと名乗る老大の下で働いた。
俺はロゥの計らいで、二重の目を切れ長の一重に整形し、顎も少し削り、名前を変えた。
ロゥの所有する女達を調教する日々。
ロゥは俺の遣り方に一切の文句をつけなかった。

ロゥは大量の女と、そして俺が日本で作ろうとしていたシステムをすでに持っていた。
つまり、女のレンタルと売買だ。
5年間で、一体何人の女を調教し、送り出したことだろう。
ロゥの所有する女は、香港の裏社会で、調教師である俺が名乗っていた名前を取って、『アギトの女』と呼ばれ高値で取引きされた。
俺は何人もの弟子を持ち、10人を超える調教師を育て、日本でも老大のために働くことを条件に、ようやく日本へと帰ることを許された。

香港に渡り、ロゥに教えてもらったところによると、あの日のマンションの爆発は火災が原因でガスに引火したものらしい。
加藤興業はあの事件が引き金となり、予てよりの内偵と様々な密告等により壊滅的状況に追い込まれ、山下自身は逮捕もされず生きてはいるものの、今やただの傀儡として、大組織の傘下で山下組と云う、小さな組の組長に納まっているらしく、もはや俺は復讐心さえ湧くこともない。

ただ……。
マンションのガス爆発については13年前の地下室の事件がそうであったように、報道などと云うものはいい加減なもので、クーデターを企て、加藤を殺して逃げた俺を冬木と持田が地下室まで追い詰めたが、俺に返り討ちに合い、山下組が追いかけたが逃げられたと云う事になっており、事実は誰にも判らないまま、須藤彰雄は現在でも全国を指名手配中である。

10数人の死傷者と発表された中に留美や綾香の名前もあったらしいが、留美が最後に見せた、あの堪らない笑顔が今も俺の脳裏には鮮明に焼き付き、数々の想い出と共に、今もどこかで生きているような気がしてならない。
そして、月夜の海にゆっくりと沈んでいった恵子も、生涯俺の中で、いつもと変わらず、いつまでもニコニコと無邪気に微笑み続けることだろう。

それらの想い出とは別に、生きている人間には一切の感情を抱かなくなった俺は、これからも数々の女達を地獄へと送っていくのだ。

綾香・裕美・亮子・あゆみ・浩子・洋子……
そして――京子。

幾人もの、俺と関わって堕ちていった女達の顔がよぎる。
久しぶりの日本で少し感傷的になっているのか。
俺も、大嫌いだった祖父や親父と同じロクデナシだと判った今――。
いや、もはや完全にヒトとしてのココロを失くした俺は、すでにヒトですらないもの――。
つまりはただのヒトデナシとして、どうせ、どこかで野垂れ死ぬ運命なのだろう。

顔と名前を変えたとはいえ、俺は今でも全国のヤクザと警察に追われている身である。
誰も信用しない。
誰にも心を許すことなど出来ない。
しかも以前とは違い、今の俺には何の力も無い。
これからは、常にビクビクと何かに怯えて暮らし続けるしかないのだ。


――そのとき。
一人の男がゆっくりと近づいてきた。
「アギトさん?」
「あ、あぁ……」
「あいやー、アギトさーん。話に聞いてるより良い男ねー。私、連絡係りのチャンよ! これから、アギトさんと組んで、お金、がっぽがっぽ……商売繁盛ねー!」



                                                    
―了― 






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プロフィール

堂山鉄心

Author:堂山鉄心
大阪府出身。 大阪を中心にSM活動を広げてきたが、ARCADIA TOKYOの出店に伴い、その活動の拠点を東京に移し活躍中。

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